宇宙植民地(読み)うちゅうしょくみんち(英語表記)space colony

翻訳|space colony

改訂新版 世界大百科事典 「宇宙植民地」の意味・わかりやすい解説

宇宙植民地 (うちゅうしょくみんち)
space colony

人間が地球以外の天体に築く居住地。アポロ計画の延長上で,月に恒久的な探索基地が生まれる日もやがて来ると予想されるが,そうした基地が発展して永住者が定着すれば宇宙植民地となる。SFにおいて最も人気のあるテーマであり,太陽系惑星はむろん,他の銀河系にまでおよぶ多様なコロニーが想像されている。その場合,主として惑星の自然環境や人間の開拓技術などに関する問題と,今日の〈南北問題〉をそのまま宇宙に持ちこんだ政治的問題とに,関心が向けられている。前者を扱ったSFにA.C.クラークの《地球光》《火星の砂》(ともに1951),《地球帝国》(1975)などがある。また後者ではタカ派を代表するハインラインの《宇宙の戦士》(1959),《月は無慈悲な夜の女王》(1965)やハト派を代表するル・グインの《闇の左手》(1969),《辺境の惑星》(1966)などが知られている。
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