火星(読み)カセイ(英語表記)Mars

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デジタル大辞泉 「火星」の意味・読み・例文・類語

か‐せい〔クワ‐〕【火星】

太陽系の4番目の惑星。地球のすぐ外側に軌道をもつ赤い星で、最大の明るさはマイナス3.0等。太陽からの平均距離2億2790万キロ、すなわち1.5237天文単位、公転周期1.8809年。780日ごとに地球と近づく。自転周期は1.0260日。赤道半径は3397キロ、質量は地球の0.107倍。昼夜・四季があるが、大気は希薄で気温は低い。極地に白い極冠をもち、冬季に大きく広がる。多数のクレーター・大峡谷などもあり、2個の衛星をもつ。熒惑けいわく。ほのおぼし。マルス。マース。
[補説](衛星)フォボスダイモス
[類語]太陽系水星金星明星明けの明星宵の明星地球木星土星天王星海王星

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精選版 日本国語大辞典 「火星」の意味・読み・例文・類語

か‐せいクヮ‥【火星】

  1. [ 1 ] 太陽系中、太陽から四番目、地球のすぐ外側にある惑星。太陽からの平均距離二億二七九四万キロメートル。直径は地球の約〇・五倍、体積〇・一五倍、質量〇・一〇七倍。公転周期一・八八〇九年、自転周期一・〇二六日。表面の八分の三が暗緑色で他は赤褐色、南北両極に白い極冠がある。地球に似た四季の変化があるが、大気は地球よりかなり薄い。フォボス、デイモスの二つの衛星をもつ。漢名、熒惑。和名、焔星。
    1. [初出の実例]「この春三星合とて大事なる天変のありける〈略〉太白・木星・火星となり、西の方によひよひにすでに犯分に三合のよりあいたりけるに」(出典:愚管抄(1220)六)
  2. [ 2 ] (星のようにチラチラと光る)残り火。
    1. [初出の実例]「狂風一夜捲枯葉、炉冷灰寒無火星」(出典:宝覚真空禅師録(1346)乾)

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改訂新版 世界大百科事典 「火星」の意味・わかりやすい解説

火星 (かせい)
Mars

基本情報
軌道半長径=1.52369天文単位 
離心率=0.0934 
軌道傾斜=1°.850 
太陽からの距離 最小=2.067×108km,平均=2.279×108km,最大=2.492×108km 
公転周期=686.98日 
平均軌道速度=24.08km/s 
会合周期=779.9日 
赤道半径=3397km 
体積=0.1506(地球=1) 
質量=0.10745(地球=1) 
平均密度=3.93g/cm3 
自転周期=1.0260日 
赤道傾斜角=25°.19 
アルベド=0.16 
極大光度=-2.8等 
赤道重力=0.38(地球=1) 
脱出速度=5.02km/s

火星は,そのやや不気味な赤色のゆえに,昔から戦いの神マルスの名を冠せられてきた。中国では,やはりその色から人心を惑わす星という意味で熒惑(けいわく)/(けいこく)と呼んでいる。地球のすぐ外側の軌道上を回っているため,半分以上欠けて見えることはない。いちばん地球に近い金星は,もっとも地球に近づく時期にすっかり欠けた状態になってしまうので,この点,火星はやや遠いが観測しやすい利点をもっている。T.ブラーエの1570年代後半から16年間に及ぶ火星の運動の眼視観測によるデータは,ケプラーの法則の発見につながり,また,G.ガリレイは火星の満ち欠けを観測している。1636年フォンタナF.Fontana(1585-1656)が表面に暗い部分のあることを発見,59年C.ホイヘンスが暗い模様の中でもっとも目だつ大シュルチスを図に書き残している。また,このころ,G.D.カッシニは極冠を発見している。19世紀半ばになるとスケッチなどに基づく火星地形図も整備されるようになり,19世紀末にはG.V.スキャパレリが運河状の模様があると指摘した。これが火星人による人工的なものではないかという議論の端緒となった。一方,物理観測としては,地表の温度が場所により大きく変わるといったことはすぐにわかったが,分光観測によって火星大気や地表の組成に対する手がかりが得られるようになったのは,第2次世界大戦後のことであり,とくに1965年のマリナー4号を初めとする探査機の活躍は,火星に関する知見をすっかり書き換えてしまった。その頂点は,76年のバイキング1,2号による火星生命探査である。その後も火星探査は続き,旧ソ連のマルス探査機群,アメリカのパス・ファインダーなどの活躍につながっている。

火星の太陽との平均距離は1.524天文単位で,約687日で太陽を一周する。軌道の離心率は0.0934と惑星の中ではかなり大きく,扁平な楕円軌道を描く。地球からの距離も5550万~3億7800万kmと大きく変わり,もっとも近づいたときの光度は-2.8等にもなる。火星は,自転周期24時間37分,自転軸の傾きも地球によく似ていて四季をもっている。しかし,火星の1年は地球の約2年に当たるため,各季節の長さはほぼ倍も続くことになる。

火星の質量は地球の約1/9で,1/80である地球の月と地球のちょうど中間くらいの値をもっている。このくらいの質量だと,自重で中心の物質が強く圧縮されて圧力のない場合に比べ著しくつぶれるというような事態には至らない。事実,観測から求められる平均密度は3.93g/cm3で,圧力がかかっていないと考えて計算した値3.85g/cm3とほとんど変わらない。しかも,火星の扁平率などから求められた中心部の核の大きさが,質量でいって全体の3~5%にしかならぬ小さいものであることなど,地球や金星のそれが数十%になることと比べて異なる点である。これを探査機の測定でわかった火星磁場がほとんどないという事実と組み合わせると,火星の核は金属鉄でなく,酸化鉄,硫化鉄といった物質からなっているのではないかと見る学者が多い。

表面の約1/3は反射率の低い暗い部分だが,レーダー観測による地形の高低図と比べても,その関連ははっきりしない。大きな暗い部分である大シュルチスなどは,傾斜部に当たり,表面が風でまき上げられ落ちてくる砂に覆われにくく,岩が露出しているのではないかといった解釈も行われている。運河ではないかと思われた部分についても,探査機による観測,撮影などからその存在が否定されてしまった。一方,南北の極に現れる白色の極冠については,データが急激に蓄積されつつある。北極冠の大きさは冬に最大で,火星緯度60°~65°まで広がる。夏には小さくなるが完全に消え去ることはない。一方,南極冠の規模はそれほどでなく夏には消失することもある。これは極冠ができたときの水の量によるものと考えられている。夏でも消えない部分は,温度の測定やら水蒸気の量についてのデータから水の氷からできている部分と理解されている。他方,季節によって増減する部分は,大気の主成分である二酸化炭素が凍ってできたドライアイスからなっている。このことは着陸したバイキング探査船の気圧測定で,極冠の消長が気圧の変化を引き起こすことが発見されて確認されている。マリナー4号による初めての火星表面のテレビ観測によって知られたように,火星の表面は隕石の落下の結果できた多くのクレーターで覆われている。しかし,オリンパス山やタルシスの連峰のように火山性と考えられる地形もある。また,あたかも水が流れてできたような地形もバイキングの周回船などで撮影されている。火星上でもう一つ目だつ地形としては,アメリカのグランド・キャニオンの2倍以上もあるような大峡谷が数多く見られることである。例えば,コプラテス峡谷と呼ばれるものは,幅が400~500km,深さが6kmで,2000km以上にもわたって続いている大断層である。このような地形が多く見られることは火星表面に張力が働いているためと考えられ,その原因として,火星でも地球上で見られるような地殻の活動の開始とか,火星全体の膨張期の存在などが唱えられている。レーダーによる観測資料を総合すると,火星の表面は広い範囲で長い緩やかな傾斜をもっており,高低差は十数km程度である。このような凹凸の少ない表面は,大気や水による侵食作用が過去を含めて少なかったことを物語っている。

 火星表面に降り立ったバイキング1号の着陸船のテレビカメラに初めて映ったその地形は,とき色の空の下に広がる岩だらけの赤い砂漠であった。空の色は砂あらしなどで空中に浮遊する細かい砂塵によるものである。一方,地表の色は大量に含まれる酸化鉄,つまり赤さびの結果である。酸化鉄は大気中のオゾンなどによって酸化されたり,表面に落ちてきた隕石に含まれていたものがまき散らされたりして蓄積したのであろう。バイキング1,2号の表面化学組成分析によると,鉄に富む粘土鉱物が表面の砂の中に80%近くも含まれていることがわかっている。残り20%はマグネシウムの硫酸塩,石灰岩などであった。火星表面の温度の観測は古くから行われ,赤道域で夜間-100℃,昼は数℃まで上昇することがわかっていた。一方,火星上でこれまで観測された最低温度は,バイキング1号が周回中に極で測った-139℃という値である。ドライアイスの凍る-125℃よりまだ低いので,大気上層のドライアイスの雲の温度で測っているのではないかとの解釈もある。しかし,もう一つの考え方は,あまりの温度の低さから大気中の二酸化炭素の80%くらいが凍ってしまい,大気の大部分が2番目に多い窒素などの非凍結性のガスで占められるという状況になっていて,その場合二酸化炭素の凍結温度がここまで低下するというものである。

火星に大気があることは雲が見えることから推定されていたが,その量や組成についての確実な値が得られたのは探査機活躍の結果である。まず量については,火星の後側に回り込んだマリナー4号の出す電波の屈折の度合から,地表気圧でいって5~7hPaと地球の約1/200という薄い大気であることが判明した。この値は,それまで分光観測などから推定されていた値より一桁以上低かった。大気の組成は,バイキング着陸船に積まれたガスクロマトグラフ質量分析器で繰り返し測定され決定された。それによれば,二酸化炭素CO295.3%,窒素N22.7%,質量数40のアルゴン40Ar1.6%,酸素O20.3%,一酸化炭素CO0.08%などであった。さらにいろいろな同位体比も測定し,15N/14N~459,40Ar/36Ar~3000,129Xe/132Xe~2.5ということがわかった。これらの比は,地球ではそれぞれ270,300,1でありたいへん異なっているので,この二つの惑星の進化の差などを研究する際に重要なデータになると思われる。水蒸気に関しては,バイキング周回船からの火星全体にわたる観測が行われ,緯度によって大きく違うことがわかった。赤道域では水の厚さに換算して0.1μmと極端に乾燥しているが,夏の極では80μmとかなり多くなっているのである。ただし,水は現在の大気中には少ないものの,低温のため凍土などの形で地下に大量に存在するのではないかと考えられている。事実,バイキングの土の化学分析の結果は,表面にある砂でさえ約1%の水を含むことを示した。オゾンO3もマリナー7号の紫外線分光器で検出されたほかに,この分子が太陽の紫外線で壊された際生ずる酸素分子からの発光という形でとらえられている。地球の場合には,オゾンが太陽近紫外線を吸収して,地上30~70kmのところで温度の上昇が起こる。しかし,火星では上記のオゾン量がきわめて少ない(~10⁻6)のでこの温度反転は起こらず,大気温度の高度変化は,赤道域においては地上から上に昇るにつれ単調に減少し,100kmくらい上へいったところで増大し始める(火星熱圏)という簡単なものであることが探査機によって確かめられた。

火星には大規模な砂あらしが起こることが昔から観測されている。つねにヘラスとかノアキスといった盆地から発生し,初め10~30日くらいで火星全面へと広がり,50~100日かけておさまる。マリナー7号が火星に到着したときには猛烈な砂あらしが起こっていて,そのとき火星上に見えた地形はオリンパス山とタルシスの連峰だけであった。この砂は太陽光を吸収して暖まるので,30kmくらい上空の大気温度が地上温度とほとんど変わらないくらい上昇していた。これでもわかるように,砂は火星の気象学にとって重要な役目を果たしている。例えば,砂あらしの発生原因としては,まず舞い上がった砂が太陽熱を受け入れ周囲の大気を暖め,それに伴う上昇気流で再び砂を舞い上げるという正のフィードバック効果が指摘されている。これは地球上では水(の潜熱)が受けもっている役割である。火星の雲には,このほか水の氷やドライアイスによるものと思われる白雲,青雲などが観測されている。

二酸化炭素は,太陽の紫外線に当たると分解し一酸化炭素と酸素原子になる。火星ができてから約46億年の間これが続けばすべて分解されるはずなのに,現在もまだ,大気の主成分として残っているのはなぜだろうか。マリナー4号が火星の電離層を観測したら,ほとんどないに等しい貧弱なものであったこともこれに関係する。例えば,地球では電離層の主成分が酸素原子イオンであることはわかっている。火星にも酸素原子はあるから,その電離層は地球と同じくらい発達していてもよいはずである。この矛盾を巡って電離層紛争と呼ばれる議論がまき起こった。初めのころは,二酸化炭素特有の光化学反応が起こり,酸素原子がその場ですぐ一酸化炭素と再結合して二酸化炭素に戻ってしまうからだといわれたが,実験室でのチェックが進むにつれ,そのような反応は存在しえないことが確認された。結局,火星上層の大気は強くかき混ぜられていて,一酸化炭素などはきわめて早く下のほうに運ばれ,代りに上がってきた二酸化炭素でどんどん薄められてしまうためだとわかった。大気の下のほうには水蒸気や塩化水素HClなどの水素化合物が存在するが,これを触媒としてCOとO(または再結合した後のO2)は容易にCO2に戻るのである。酸素の一部はオゾンになる。そして,このような中で生じたClO2,HO2,HFなどの種々の化合物が大気の微量成分として観測されている。また,火星にはほとんど磁場がないから,太陽風は表面のかなり近くまで吹き込んでいる。これらのようすもマルス7号などの探査機によって確認されている。

火星には生命が存在するのではないかという話は古くからあった。地表には水の流れた跡のような地形があり,また計算によると,長い間に火星の回転軸の方向が変わり,極での太陽熱の吸収量が増したとき極冠がとけて,温和な雨の多い気候が存在したのではないかという説もある。このような時期に,せめてバクテリア程度の生命が発生し,生きながらえていないだろうか。

 バイキング着陸船は下記の3種の生命検出装置を積んでいた。(1)炭酸同化実験 これは採集した火星の砂の上に質量数14の炭素同位体で目印をした二酸化炭素を入れ,生命があれば炭酸同化作用でこれらのガスを有機物に変えるであろうから,その有機物を検出しようとする。生命として地球型のものを想定しているのだが,水を使っても使わなくても実験できるという利点がある。1回目の実験では多少の反応がでたが,実験を繰り返すと再現性はなかった。(2)ラベル放出実験 同様に質量数14の炭素同位体で目印した栄養液を砂に注ぎ,二酸化炭素になって出るだろう代謝生産物を検出する。砂に栄養液を注入したら,予想を上回る激しい反応が起こり,やがて落ち着いた。この反応は生物学的ともいえぬことはないが,砂の中に光化学反応でできた過酸化物が含まれ,それと水の反応でガスを放出したとも解釈できる。(3)ガス交換実験 砂に栄養液を加え,出てきたガスをガスクロマトグラフで成分分析する。二酸化炭素や酸素が出てきた。土を焼いて殺菌した後同じ手続を繰り返すと,今度は酸素が出なかった。ラベル放出実験と同じように過酸化物を含む土に水を入れたという感じである。

 生命検出不成功を最終的に確認したのは,着陸船に同時に積まれていたガスクロマトグラフ質量分析器である。この機器は大気成分分析と同時に砂の中の有機物の量も計測できる。感度は非常によく,メタンのように簡単な分子なら10⁻9,複雑な有機分子なら10⁻6含まれているだけでも検出する。しかし,火星の土の反応はまったく否定的であった。これでバイキング1,2号が着陸したクリュセ,ユートピアの2地点にも生命が存在しないことが確認できた。

火星には1877年A.ホールによって発見されたフォボス,デイモスという二つの衛星がある。それぞれ長径が25kmと13km程度の不規則な形をした火星の月である。フォボスは火星の中心から平均距離9400km(火星表面から5900km)ほどのところを7時間39分の周期で回っている。バイキングがその地表の反射率をいろいろな波長で測ってみたら,炭素質隕石の一種であるマレー隕石に非常に似ていて一様に低かった。この衛星の比重も1.9くらいで,ちょうど炭素質隕石の値と一致している。デイモスは火星からの平均距離が2万3500kmほどのところを30時間18分の周期で公転している。いろいろな意味でフォボスに似ている衛星である。フォボスは公転周期が火星の自転周期の1/3ほどなので,火星の表面からフォボスを見ると西の地平線から昇り,速いスピードで横切って東に沈むが,デイモスは逆の方向を2日近くかかって横切ることになる。これら衛星の成因は,小惑星帯から落下したものを捕獲したと考えられている。
執筆者:

火星はギリシア神話の軍神アレス(ローマ神話ではマルス)と同一視された。錬金術では鉄のシンボル。占星術では激情とエネルギーに満ちた行動力を意味する惑星である。吉位にあれば大胆で勇敢な性格を,凶位にあれば権勢欲の強い,または官能的で短気な性格を授ける。人体の支配部位は左耳,腎臓,静脈,外陰部で,炎症,高熱,負傷,火傷などを引き起こしやすい体質をつくるとされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火星」の意味・わかりやすい解説

火星
かせい
Mars

地球のすぐ外側の軌道を回る、金星に次いで地球に接近する太陽系の惑星。直径は地球の約53%、質量は地球の約11%しかない。公転周期は1.88年。火星の軌道離心率は、水星に次ぐ大きさの0.093もあり、太陽からの距離は太陽と地球の間の距離の約1.4~1.7倍に変化する(平均距離は約2億2800万キロメートル〈1.5241天文単位〉)。

[山田陽志郎 2024年6月18日]

軌道

太陽系の惑星としてはかなり楕円(だえん)の軌道を描く。そのため、太陽にもっとも近づく近日点距離と太陽からもっとも遠ざかる遠日点距離の違いがかなり大きく、近日点付近で火星が地球と接近すると、距離が小さくなり「大接近」とよばれる。大接近は15年あるいは17年に一度おこる。自転周期は24.6229時間。表面重力は地球上の約38%。

 約2年2か月ごとに火星が地球に接近するころ、地球から見て火星は太陽と反対方向に見える(衝(しょう)の位置)ため、火星は真夜中に南中し、一晩中眺めることができる。星座を背景に独特な動き方をするのが惑星の特徴であるが、地球に近い軌道を動く火星では動きが比較的速く、目だっている。さらに火星が目だつのは、その色と明るさである。赤い火星は地球に接近するころに明るく見え、人々の注目を集めてきた。赤い色は血や炎を連想させ、古代から戦争や災害と関係する神やシンボルとされることが多かった。

 望遠鏡発明以前の時代、デンマークティコ・ブラーエは肉眼と観測器具だけで火星の精密な位置観測を行った。そのデータから試行錯誤の末、1605年に火星軌道が楕円であると見抜いたのがドイツのヨハネス・ケプラーであった。

[山田陽志郎 2024年6月18日]

表面

望遠鏡による初期の火星スケッチとしては、オランダのクリスティアーン・ホイヘンスが1659年11月28日夜、口径7センチメートル、倍率87倍の望遠鏡で観測したものがあり、そのスケッチには、今日の火星地図で「大シルチス」とよばれる模様が描かれている。また、ホイヘンスは火星の自転周期が約24時間であると、同年に記録している。さらに、1666年にパリに移住したホイヘンスは、1672年の火星接近時に火星の南極域に白く輝く「南極冠(水や二酸化炭素が凍った平原。北極冠もある)」をスケッチしている。

 イギリスのウィリアム・ハーシェル(父)は1777~1783年に火星を観測し、火星の自転軸が軌道面の垂線に対し約30度傾いていると結論した。これは、火星には地球のように四季が存在することを意味した。

[山田陽志郎 2024年6月18日]

衛星

1877年の火星大接近時には、アメリカ海軍天文台のアサフ・ホールが火星に二つの衛星を発見した。衛星は火星に近いほうからそれぞれフォボス、デイモス(ダイモス)と名づけられた。戦争の神(ローマ神話のマルス、ギリシア神話のアレス)の息子たちの名である。

[山田陽志郎 2024年6月18日]

運河

同じ1877年、イタリアのジョバンニ・スキャパレリが観測した火星スケッチは大きな反響をよんだ。口径22センチメートルの屈折望遠鏡を使って、注意深く火星を観測した彼は、火星が複雑な網目模様に包まれていることを報告した。スキャパレリは、そうした直線状の模様を「カナーリ」とよんだ。イタリア語で水路(天然、人工を問わず)や経路、管を意味するが、英語に翻訳された際に「カナル(運河)」、運河と訳され、スキャパレリは火星に運河を発見したと世界中の目が火星に注がれるようになった。スキャパレリはかなりの近眼で色覚異常もあった。彼には火星はほとんど明暗像のように見えたという。ただ、コントラストについては敏感で、濃淡がわずかに異なる境界部分が線として見えたのかもしれない。

 アメリカの資産家パーシバル・ローウェルは、アリゾナ州に1894年、私設の天文台を建設した。口径61センチメートルの大型屈折望遠鏡がもっぱら向けられたのは火星であった。ローウェルは運河や運河が交わるところにある黒い斑点を多数記録している。ローウェルは、運河そのものは地球上の望遠鏡で識別するには小さすぎるはずで、見えているものは運河沿いの植生なのだと考えていた。「火星人による運河」というローウェルの主張に反対する者もあり、運河とよばれる模様を見たという者も少数派であった。

[山田陽志郎 2024年6月18日]

探査機の時代

火星に関する新しい知識をもたらしたのが火星探査機である。初めて成功した火星探査機は、1964年にアメリカが打ち上げたマリナー4号だった。翌1965年7月には火星表面から約9800キロメートルを通過。初めて火星の近接撮影を行った。火星表面には月と同じようなたくさんのクレーターがみつかり、火星はおもに二酸化炭素からなる大気に覆われていることが確認された。表面気圧は地球上の0.4~0.7%。マリナー4号は火星にわずかな磁場を観測した。

 1971年5月に打ち上げられたソ連の火星探査機マルス3号では、周回機(オービター)に加えて、着陸機(ランダー)と小型探査車(ローバー)も搭載していた。同年12月に火星に軟着陸を果たすも直後に送信がストップ。その後、探査車がどうなったかも不明である。

 同じく1971年5月に打ち上げられたアメリカのマリナー9号は、その年の11月には探査機として初めて火星周回軌道に入った(他の惑星の周回軌道に入った初めての探査機)。なお、巨大楯状火山のオリンポス山は、1879年にスキャパレリが明るく輝く地点として初めて観測し、Nix Olympia(オリンポスの雪)と名づけたが、マリナー9号により「山」であることが確認され、オリンポス山Olympus Monsと命名された。また、火星赤道に沿う巨大峡谷もマリナー9号によって発見され、マリナー9号にちなんでマリネリス峡谷Valles Marinerisと命名された。続いてソ連のマルス2、3号が11月下旬~12月上旬に火星周回軌道に入った。マルス2号の着陸機(と小型探査車)は大気圏降下中に問題が発生し、表面に激突したもよう。このころ、火星は惑星規模の砂嵐(グローバルダストストーム)にみまわれていたため、表面のようすはほどんどわからなかった。1972年1月には砂嵐も収まったが、マリナー9号による火星の写真に運河らしきものはみつからなかった。

 1975年8月打ち上げのアメリカのバイキング1号(周回機・着陸機)は翌1976年6月に火星周回軌道に入り、同年7月、着陸機がクリュセ平原に着陸した。バイキング2号(周回機・着陸機)は1975年9月に打ち上げられ、翌1976年8月に火星周回軌道に入り、着陸機は9月、ユートピア平原に着陸した。周回機は火星表面全体を撮影。最初の火星表面カラー画像など5万2000枚以上の画像を送信。着陸機には土壌に生命が存在する可能性を調べる三つの実験装置を搭載していたが、明確なデータは得られなかった。地上1.5メートルで測定された気温は氷点下25℃~氷点下119℃であった。極冠と大気との間にはH2Oのやりとりがあり、季節周期があることも明らかになった。火星の土壌を分析し、あの赤い色は酸化第二鉄などの鉄の酸化物、つまり鉄さびの色であることを明らかにした。オレンジ色の空も赤い色の細かい塵(ちり)が風によって吹き上げられているためである。火星の大気は薄いため、地球のようなレーリー散乱(空が青くなる)の効果が目だたず、塵による色が目だっている。大量の水が流れたとみられる流水地形があちこちにみつかり、過去には温暖な時期があったと推測されている。

 地球上でみつかる一部の隕石(いんせき)には、そこに含まれるアルゴンなどの気体の同位体組成が火星大気のもの(バイキング〈1号、2号〉着陸機が測定)とよく一致している。こうした火星から飛来したとされる火星隕石が2024年3月時点で370個以上みつかっている。

 アメリカの「マーズ・グローバル・サーベイヤー」探査機は、1997年9月に火星周回軌道に入った。その高解像度画像によって2000年に発見されたガリとよばれる小規模な筋状地形については、流れたものが水である可能性も含め、成因がよくわかっていない。また、「マーズ・パスファインダー」探査機は1997年7月、火星のアレス渓谷にパラシュートとエアバッグを使って着陸した。着陸機からは初めてとなる火星探査車「ソジャーナ」が地上に降ろされ、周囲の岩石などを調査した。さらに火星探査機「2001マーズ・オデッセイ」は、2001年10月に火星周回軌道に入った。そのおもな目的は火星表面のリモート・センシング(遠隔探査)であった。

 日本の文部省(現、文部科学省)宇宙科学研究所は、1998年(平成10)7月に鹿児島宇宙空間観測所(現、宇宙航空研究開発機構〈JAXA(ジャクサ)〉内之浦(うちのうら)宇宙空間観測所)から火星探査機「プラネットB」を打ち上げた(打ち上げ後、探査機は「のぞみ」と命名)。途中トラブルが起こり、計画の大幅な修正がなされ、2003年(平成15)12月に火星に接近したが周回軌道にのせることができなかった。

 2003年6月と7月に相次いで打ち上げられたアメリカの2台の火星探査車が、「スピリット」と「オポチュニティ」であった。それぞれ2004年1月上旬と下旬に異なる地点に到着し、移動を伴う探査が始まった。水中で沈殿・堆積(たいせき)したとみられる岩石も発見している。岩石中の硫酸塩鉱物は、地球上では水のある環境で形成されている。

 ESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)が初めて取り組んだ火星探査機計画「マーズ・エクスプレス」では、軌道周回機と着陸機を使い、火星の大気・電離層、表面、地下構造などを調べることになっていた。マーズ・エクスプレス探査機は、2003年12月に火星到着。着陸予定日の6日前には本体(周回機)から着陸機が分離された。着陸機には生物の痕跡(こんせき)を調べるための各種観測装置などが積まれていたが、残念ながら着陸機からの応答はなく失敗に終わり、周回機のみによる観測となった。

 アメリカは「マーズ・レコネサンス・オービター」探査機を打ち上げ、2006年3月、火星周回軌道にのせた。それまでの惑星探査機では最大口径の50センチメートルカメラが搭載された。同じくアメリカの「フェニックス」探査機は、2008年5月に火星に到着。重い機体のため、パラシュートとエアバッグによる着陸はできず、バイキング着陸機と同様にロケット噴射で減速を行い、北緯68度の高緯度地域に着陸。着陸地点の気温は氷点下80℃~氷点下30℃。地面の下に水氷が広がっているのが確認された。さらにアメリカは新たな火星探査車「キュリオシティ」を打ち上げ、2012年8月に着陸させた。

 インド初の火星探査機となる火星周回機(マーズ・オービター・ミッション。愛称「マンガルヤーン」)が2013年11月上旬にインド南東部、サティッシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられ、2014年9月には火星周回軌道に入った。

 アメリカの火星周回機「メイブン」は、2014年9月に火星周回軌道に入った。火星大気や、火星大気と太陽風との関係などを調べるのが目的であった。火星全体としての磁場がないため、火星では太陽風が直接大気にぶつかり、上層の大気が太陽風により流失していくことがわかった。かつては大量にあった水の一部は地下に氷として蓄積しているが、大部分は大気を通じて失われたらしい。

 2016年3月にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたESAとロシア宇宙庁の火星探査機「エクソマーズ2016」の軌道周回機と着陸機は、同年10月に火星に到着。火星大気と火星表面の観測を行う周回機の「トレース・ガス・オービター」(TGO)は周回軌道にのったが、着陸機の「スキャパレリ」は着陸に失敗。

 アメリカが打ち上げた火星着陸機「インサイト」は、2018年11月に火星の赤道近く、エリシウム平原西部に着陸。高感度火星地震計(火震計)を搭載し、火星の内部構造を探っている。

 2020年7月には、3か国の火星探査機が相次いで打ち上げられた。

 アラブ首長国連邦初の火星探査機の「アルアマル」(HOPE、周回機)は種子島(たねがしま)宇宙センターからH-ⅡAロケットにより打ち上げられ、2021年2月10日0時42分(日本時間)に火星周回軌道に入った。

 中国の火星探査機「天問一号」は2021年2月10日21時ころ火星周回軌道に入った。5月15日に着陸機を火星に着陸させ、22日には探査車を着陸機から火星表面に降ろした。

 アメリカの火星探査車「パーサビアランス」は、2021年2月19日に大シルチス内の北東部、イェゼロ(ジェゼロ)・クレーターに着陸。同機腹部から世界初の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」を分離。同年4月に初飛行を行った。

 なお、現時点では火星の自転軸の傾きは、0~60度と大きく変動してきたことが理論的な研究からわかってきた。その変化は、火星が受ける日射量の緯度分布や季節変化のようすを大きく変える。火星の極冠には色の暗い層と明るい層が交互に堆積しているが、自転軸傾斜角の変動によるものと考えられている。

[山田陽志郎 2024年6月18日]


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百科事典マイペディア 「火星」の意味・わかりやすい解説

火星【かせい】

太陽系の第4惑星。太陽との平均距離2億2800万km,公転周期1.88年(687日)。780日ごとに地球に接近,15〜17年ごとに大接近し,最近距離は5500万km,最大光度−2.8等。半径3397km,質量は地球の0.11倍,表面重力は地球の0.38倍,比重3.9。自転周期は1.03日,赤道面が公転面に対し約25°傾き,地球とよく似た昼夜,四季がある。フォボスとデイモスの2衛星がある。 両極の極冠を除けば,表面の約4分の3は明るい赤褐色で半砂漠状態,残りは暗色。一般に暗色部分は赤褐色部分より暖かい。表面温度は赤道域で夜間−100℃,昼間は数℃。極ではバイキング1号が−139℃という値を観測している。表面の気圧は5〜7hPaである。大気の組成(体積比)は二酸化炭素1に対し窒素分子0.06,アルゴン0.015,酸素分子0.003,このほか可変的であるが一酸化炭素0.06%,オゾン0.03ppmもある。水蒸気は変化が大きく,可降水量(大気中の水分を全部凝縮させたときの水層の厚さ)は最大(夏の極で)80μm,最小(赤道域)0.1μm,平均数μm。極冠は二酸化炭素が凝縮してドライアイスになったものと水分が凝結して雲または雪になったものの混合である。雲は大気中の二酸化炭素や水蒸気が凝縮してできるものと,地表のちりが吹き上げられて生ずる塵雲とがある。小規模な塵雲はしばしば発生するが,かなり長期間つづく非常に大規模な塵雲はある季節に定まって発生し場所もほぼ一定している。 表面の地形は月と同様にクレーターがあるが,月ほど密度は高くない。数は南半球に多い。また溶岩が噴出してわんを伏せたような形になった楯状火山が多くあり,地球に比べて大型である(最大のもので高さ26km,直径約50km)。明らかに浸食によって生じたと思われる大峡谷(最大のもので幅500〜1000km,長さ4000km)がいくつか存在し,内部に流氷の痕跡が認められる。この峡谷を形成した大量の水は,現在火星の地下に凍結しているものと思われる。バイキング1〜2号の着陸船は火星表面で生物の存在の証拠を探る実験を行ったが,いずれも生命の存在を証明するにいたらなかった。2004年1月にNASAの火星探査車が着陸し,その探査から,火星に水が存在した証拠を発見したと同年3月にNASAが発表した。 火星はギリシア神話ではアレス,ローマ神話ではマルスと同一視された。占星術では激情・エネルギーにあふれる行動力を意味する。錬金術では鉄のシンボル。→火星探査機
→関連項目極冠

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火星」の意味・わかりやすい解説

火星
かせい
Mars

太陽系の内側から4番目の惑星太陽からの距離は,近日点 2億 666万 km,遠日点 2億 4923万 km,軌道の離心率は 0.093で,これは水星に次ぐ値であり,この楕円軌道が,ケプラーの3法則 (→ケプラーの法則 ) 発見の貴重な決め手になった。公転周期は 687日で,地球との会合周期 780日は,どの惑星よりも大きい。接近時の実視等級は-2.8等に達し,これは金星に次いで全天2番目。赤道半径約 3397kmで地球の約半分,表面重力は地球の約 0.38。自転周期は 24時間 37分 23秒で地球とよく似ている。自転方向は順行。表面はみごとな赤褐色で,一部分暗青色のところがあり,また両極の白い極冠の消長などから,その表面の状況に関するいろいろな想像が生まれた。線条模様の運河説 (→火星の運河 ) ,それと関連して火星人の想像などが最も著名。衛星はフォボスデイモスの2個で非常に小さく,また表面に近いところを回っている。 2004年1月以降は火星に着陸した人工衛星から切り離された2台の探査車が火星表面上を探査している。そのうちの探査車「オポチュニティ」の調査では,火星に水が存在した岩石学的な証拠が見出された。火星の大気の主成分は二酸化炭素であるが,大気自体の量は少なく,圧力としては地球の約 170分の1程度しかない。

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知恵蔵 「火星」の解説

火星

地球の外側を回る第4惑星。赤色に輝き、およそ2.1年(780日)ごとに地球に接近する。望遠鏡では、赤褐色の表面に暗い模様と、両極に白く輝く極冠が見える。これらは季節変化を示し、極冠は季節によって拡大縮小する。探査機(1976年のバイキング、97年のマーズ・パスファインダーなど、いずれも米)によってクレーター、巨大な火山、深い長大な渓谷、水の流れた跡などが見つかった。ほとんどが低温の乾燥した砂漠地帯だが、極冠や地下には大量の水が存在すると考えられている。03年に軟着陸した米の探査機オポチュニティーとスピリットは、岩石の微細な構造や化学的な特性の解析から、かつて火星に大量の水が存在していた証拠を発見した。また、火星を周回するヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機マーズ・エクスプレスも、上空からの分光観測から、火星の南極の極冠付近に水の分子や氷の存在を確認した。水の存在は生命存在の可能性につながるが、生命が存在する証拠は見つかっていない。火星大気は、主成分が一酸化炭素(95%)、気圧は地球の1%程度で生物の生存には適していない。2つの小型衛星フォボス(Phobos)とダイモス(Deimos)がある。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

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占い用語集 「火星」の解説

火星

牡羊座の支配星。蠍座の副支配星。古代ローマの軍神マルス(ギリシア神話ではアレス)から命名。赤い惑星であり、昔から不吉な星だとされた。占星学上の基本的意味は「積極性」。さらに、闘争のシンボルともされる。目的を達する情熱、男性的なパワーや、欲望などを表す。ホロスコープ上での火星のありかたによって、その人の活動力の状態を判断する。また女性のホロスコープ上での火星は、ユング心理学(心理占星術)において、アニムス(理想の男性)を表すといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内の火星の言及

【アンタレス】より

…さそり座のα星。ギリシアの軍神アレスArēs(ローマではマルスMars)が火星と結びつき,この星の色が赤いことや,火星がこの付近にやってくることから,ant‐Arēs(火星に対するもの)という名がついたのであろう。中国名は火(か),大火(たいか),火星などという。…

【風】より


【他の惑星の風】
 人工衛星の打上げが盛んになり,地球以外の惑星の大気のようすもしだいに解明されてきた。
[火星]
 火星は地球に比較して大気振動の大きい惑星である。地球上でも月の引力や太陽の放射熱によって起こされる大気潮汐があるが,火星ではダストによる熱潮汐が日々の天気を支配しているからである。…

【熒惑】より

…火星の古代中国名。五星の一つ。…

【スキャパレリ】より

… スキャパレリは望遠鏡による惑星面観測の大家としても著名である。77年に口径22cmの屈折望遠鏡で火星面を観測し,火星の地形を海や大陸に分類して火星図を作ったが,その際,火星面上を縦横に走る“カナル(運河)”が大きな話題となり,火星人のロマンにまで発展した。そのほかに水星面の斑点の観測から水星の自転周期を公転周期と同じ88日と発表した。…

【大気】より

…上空ほど気温は低く,100km上空では-60℃くらいである。火星の大気は二酸化炭素95.3%,窒素2.7%,アルゴン1.6%,酸素0.3%などから構成され,気温は約-100℃,気圧は約0.006気圧である。水分や二酸化炭素の大半は表面の土に吸収されている。…

※「火星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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