化学辞典 第2版 「安定化ジルコニア」の解説
安定化ジルコニア
アンテイカジルコニア
stabilized zirconia
YSZともいう.Y2O3のような希土類酸化物や,CaOあるいはMgOを固溶させることで,2370 ℃ 以上で安定な立方晶相を低温まで安定にしたZrO2の固溶体.Zr4+ より小さい価数のカチオンの酸化物,たとえばY2O3を固溶させることで,
Y2O3 → 2YZr′ + 3OO× + VÖ
の欠陥反応により酸素空孔 VÖ が生じている.アニオンの拡散が容易な蛍石(CaF2)構造であることに加え,酸素空孔が導入されることで,酸素空孔を介しての酸化物イオンの拡散が増大し,イオン導電体となっている.一般に800 ℃ 以上で酸化物燃料電池や自動車用,製鋼用酸素センサーの固体電解質として用いられる.ダイヤモンド類似石として宝石に用いられることもある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報