超硬合金(読み)ちょうこうごうきん(英語表記)cemented carbide alloy

  • cemented carbide
  • hard metal
  • ちょうこうごうきん テウカウガフキン
  • ちょうこうごうきん〔テウカウガフキン〕
  • 超硬合金 hardmetal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

主として切削工具に用いられる硬質材料。標記の英語は「固結炭化物合金」の意味で,もともとはタングステン炭化物の粉末コバルトを固結材として焼結した一種のサーメットである。日本では WC-Co 系合金 (炭化物) でなくてもおよそロックウェル硬さ HRA85 (ビッカース硬さ HV 約 900 相当) 以上のものを含めていう。しかしセラミックスとしての主流は炭化物 (WC ,TiC ,TaC ,NbC ,Cr3C2 または Cr4C ) で,固結材としての金属にはニッケル Ni も用いられる。 WC-Co 系合金でも配合は製造会社により種々で,商標名も異なる。ドイツのウィディア,日本のイゲタロイ,タンガロイなどすべて同じ系統で,切削バイトチップ,線引きダイス,高圧力発生装置のアンビルなどに用いられる。ダイヤモンド,カーボランダム SiC ,炭化ホウ素 B4C などの粉末成形工具も同系統である。アルミナ Al2O3 -炭化物系,ジルコニア ZrO2 -イットリア Y2O3 系,サイアロン (窒化ケイ素-アルミナ-窒化ケイ素-アルミナ-窒化アルミニウム系) などのセラミックスも硬質材料として用いられる。金属元素のみの合金としては基の合金 (Fe-W-Co 系,Fe-Co-Mo 系,Fe-W-Cr 系,Fe-W-Mo 系) を熱処理によって析出硬化したもの,ジルタン (W-Zr 合金) ,ステライト (Co-Cr-W 合金) などがあり,ガラス切り,線引きダイス,切削工具に使われる。

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知恵蔵の解説

焼結複合材料の一種。タングステンの炭化物など、硬度の高い素材の粉末を鉄、コバルト、ニッケルなどの鉄属金属と結したもの。耐摩耗工具、切削工具、耐衝撃工具などのほか、ボールペンのボールなどにも使用。サーメットは、タングステン以外の金属の炭化物や窒化物、ホウ化物が添加される場合もある。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

チタン,タングステンなどの遷移金属遷移元素)の炭化物粉末と,鉄,コバルトなどの鉄属金属の粉末を混合,加圧成形ののち焼結した合金。多くの組合せがあるが,ふつうは炭化タングステン―コバルト系のものを超硬合金といっている。焼結は水素炉または真空炉で1350〜1600℃で行う。1925年ドイツのクルップ社からウィディアの名で市販されたのが最初で,大量生産に適応する高速切削が可能となり,機械工作が飛躍的に発展。切削工具のほか引抜きダイス削岩機ビット,耐摩耗用工具などに利用されている。
→関連項目ウィディアセラミック工具

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世界大百科事典 第2版の解説

元素周期表の第IV,V,VI族の遷移金属(Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W)の炭化物粉末を,鉄族金属(Fe,Co,Ni)の粉末とともに焼結して得られる複合合金。したがって多くの組合せが考えられるが,なかでも,室温から高温における機械的性質がとくに優れているのはWC‐Co系合金(WC‐Co,WC‐TiC‐TaC‐Co)であり,超硬合金といえば,普通はこの系の合金をさす。超硬合金は,炭化物の特性を反映して高硬度であるとともに,結合金属の特性も反映してかなりの強靱(きようじん)性をも兼備している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高融点炭化物の粉末を体積比で10~30%のコバルト、ニッケルで焼結した、鋼では得られない高い硬さをもつ合金。切削用、線引ダイス、各種耐摩耗工具に用いられるので超硬工具ともいう。最初に開発された超硬合金は炭化タングステンWCをコバルトで焼結したものであった。現在はこのほかに炭化タンタルTaCなど炭化タングステン以外の高融点炭化物、窒化物を添加した合金が数多く開発されている。炭化物粉末を鉄で焼結した超硬合金をフェロチックという。炭化チタンとニッケルが主成分の超硬合金は超硬工具としても使用されているが、ほかの超硬合金と比べて比重が小さいので、航空機やタービンなどの耐熱材料として使用され、一般にはサーメットcermetとよばれている。

[須藤 一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 合金の一つ。炭化タングステン・炭化チタンなどの粉末を、コバルトなどの金属粉末を結合剤として高圧で焼結したもの。高温でも硬度が高いので、切削工具やガスタービンなどに使われる。

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化学辞典 第2版の解説

高融点金属の炭化物は一般にいちじるしく大きな硬さを有しているが,これらの粉末に比較的靭性をもったCo,Niなどの金属を質量で数% ないし十数% 添加し,結合させてつくった合金.炭化物としてはWCがもっとも広く用いられ,そのほかTiC,NbC,TaCなども用いられる.原料粉末を混合し,加圧して成形体をつくり,水素雰囲気または真空中で1350~1600 ℃ で加熱焼結して製造する.超硬合金の約70% はバイトやドリル,フライスなどとして切削用に用いられ,WC-Co系,WC-TiC-Ta(Nb)C-Co系,TiC-Ni系,TiC-Mo2C-Ni系などがある.WC-Co系はまた線引きや管引抜き用ダイスなどの耐摩工具,打抜き型圧延用ロール,ペン用ボールなどの耐摩部品,鉱山や土建用の削岩用ビットなどに広く用いられる.また特殊な例として,Cr3C2にNi 10~15質量%,W 2質量% を加えたものが化学液ノズルに利用される.

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