朝日日本歴史人物事典 「実尊」の解説
実尊
生年:治承4(1180)
鎌倉前期の法相宗の僧,興福寺ならびに大乗院の僧。父は関白藤原基房。興福寺信円につき法相宗を修めた。学問に優れ,正治1(1199)年には維摩会講師を勤めている。一方,若くして僧綱を歴任し,建保2(1214)年には権僧正となった。そのころ大乗院第5世となり,嘉禄2(1226)年には興福寺別当となった。安貞2(1228)年,興福寺衆徒と多武峰寺との抗争の責任をとって別当職を罷免されるがすぐ復職し,翌年には大僧正に任ぜられた。寛喜2(1230)年には別当,大僧正両職を辞している。
(追塩千尋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報