実況中継(読み)じっきょうちゅうけい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「実況中継」の意味・わかりやすい解説

実況中継
じっきょうちゅうけい

事件や行事 (特にスポーツや演芸演劇など) の進行状況を,その現場から即時に放送し続けること。 1920年 11月にピッツバーグの KDKA局がアメリカ最初のラジオの正式放送を開始してから8ヵ月後の 21年7月,デンプシーカーペンターのボクシング選手権試合実況中継されて,初期のラジオ・ブームのきっかけとなった。東京,大阪,名古屋の3局で 25年にスタートした日本のラジオ放送の場合でも,7月に電波を発したばかりの名古屋放送局が,10月には第3師団練兵場から天長節祝賀式の模様を実況中継した。日本におけるスポーツ中継の最初は,大阪放送局による 27年8月の甲子園の全国中等学校優勝野球大会である。テレビでも,NHKが放映を開始した1ヵ月後の 53年3月,皇太子イギリス,エリザベス女王戴冠式への出発を横浜港から実況中継した。 70年代に入ると宇宙衛星で世界を結ぶ中継も珍しくなくなり,ビデオテープ普及とともに,それを使った録画中継も盛んとなった。 80年代後半からは放送衛星の打上げにより,アメリカのプロ野球ワールドシリーズやテニスウインブルドン大会,さらには日常的なプロバスケットボールの試合などをリアルタイムで世界各地の視聴者が見られるようになり,実況中継の質もより濃くなっている。

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