日本大百科全書(ニッポニカ) 「実用数学技能検定」の意味・わかりやすい解説
実用数学技能検定
じつようすうがくぎのうけんてい
数学や算数の解答能力を測る日本の民間検定試験。略称は数学検定、算数検定で、実用英語技能検定(英検)の数学・算数版といえる。「計算」「作図」「表現」「測定」「整理」「統計」「証明」の実用技能について、解答にいたる論理的思考力や説明能力を記述式でテストする。難度が高い順に、数学検定1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級、算数検定6級、7級、8級、9級、10級、11級、かず・かたち検定ゴールドスター、シルバースターの計15段階がある。1級が一般・大学レベル、準1~準2級が高校レベル、3~5級が中学レベル、6~11級が小学校レベル、かず・かたち検定が幼児向けとされる。数学検定(1~5級)のみ、計算技能を問う一次試験(計算技能検定)と数理応用技能を問う二次試験(数理技能検定)がある。どの級も一次試験で約70%、二次試験で約60%の正解が合格基準である。
公益財団法人日本数学検定協会が1992年(平成4)から開始し、学校単位などで受検する団体受検を年に約17回、提携会場検定を年に14回程度、個人向け検定を年3回実施している。開始当初の志願者は年間5500人程度だったが、検定取得者に入学試験で優遇措置があったり、単位認定する中学、高校、大学が増え、2019年(令和1)時点で年間志願者は35万人を超えている。文部科学省が検定を後援し、2級以上の取得者は高等学校卒業程度認定試験(旧、大検)の数学試験が免除される。日本数学検定協会はほかに、ビジネス現場での数学能力をネット試験で問う「ビジネス数学検定」や、全国の中学・高校・高等専門学校生が団体で競う「数学甲子園(全国数学選手権大会)」も開催している。また、数学検定・算数検定をフィリピン、カンボジア、インドネシア、タイ、ジャマイカでも実施している。
[矢野 武 2020年11月13日]