室津下村(読み)むろつしもむら

日本歴史地名大系 「室津下村」の解説

室津下村
むろつしもむら

[現在地名]豊浦町大字室津下

現豊浦町の西端にあって、北と西はひびき灘、南は室津上むろつかみ村、東はおにじよう山から西に連なる山稜が途中北へ延びる稜線黒井くろい村・厚母あつも村と接する。南から室津湾に流入する沖田おきた川の沖積によって平地が形成され、その河口に集落が集まる。長府藩領で西豊浦郡中支配に属する。

和名抄」の郷名に室津があり、この室津郷の地とされる。

松原まつばらの砂丘下から縄文式土器片が検出され、また弥生土師器も出土している。室津湾の西端のこう山には群集墳があり、法仙庵ほうせんあん古殿ふるどの小原こばら山・はざま布施ふせえき京田きようでんの古墳群も点在し、孤在する古墳を含めると一四八基に達する。この地に縄文時代から人の生活が営まれ、古墳時代には規模の大きな集落のあったことが推測できる。また室津湾の入口とまりはなには、海岸に多数の遺物包含地がある。

室津湾は朝鮮半島との交流があった地であったらしく、建治元年(一二七五)には、先の文永の役に失敗した元の世祖からの使者が到着した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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