化学辞典 第2版 「容量係数」の解説
容量係数
ヨウリョウケイスウ
capacity coefficient, volumetric coefficient
充填塔やスプレー塔などのように,物質移動や熱伝達の有効接触面積が不明な場合には,装置の単位容積当たりに存在する平均有効面積をaで表し,これと物質移動係数または境膜伝熱係数との積をまた一つの係数と考えて,これを物質移動容量係数あるいは伝熱容量係数という.aの単位は長さの逆数であるから,単位面積当たりの物質移動係数や境膜伝熱係数にこれを乗じると単位容積当たりの係数の次元になるため,容量係数と名づけられた.容量係数の場合にも移動係数と同様に,境膜係数と総括係数が考えられている.物質移動では,濃度の単位にガス濃度,液濃度ともにモル分率で表されるために,どちらを用いた場合にも単位は kg mol m-3 h-1 である.伝熱の場合には kJ m-3 h-1 deg-1 となる.これらの容量係数は,おもに2種類の流体を直接接触させる物質移動,すなわち吸収,蒸留,液-液抽出,増湿,減湿などの操作,または空気による水の冷却のような伝熱操作を行わせる塔式装置の体積または高さの計算に便利な値のために,古くから数多くの人によって研究されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報