富波里・富波庄(読み)とばのさと・とばのしよう

日本歴史地名大系 「富波里・富波庄」の解説

富波里・富波庄
とばのさと・とばのしよう

現野洲町北部、富波甲とばこう富波乙とばおつを遺称地とし、五之里ごのりを含む古代条里の地割を残す水田地帯にあった。冨波とば鳥羽とばとも記される。元暦元年(一一八四)の「近江国注進風土記」に「富羽里、野洲北」とある。立庄の時期・経緯は不明。観応二年(一三五一)八月四日、足利尊氏から、石山寺領富波庄および虫生むしゆう(現中主町)に対する軍勢駐屯・兵粮米譴責等の乱妨を停止するよう山内定詮に命じられ(「足利尊氏御教書」前田家文書)、翌三年三月にも当庄などへの軍勢濫妨・兵粮賦課が停止された(「足利義詮御教書」同文書)。文和三年(一三五四)四月八日、足利義詮は京極導誉に勲功の賞として当庄下司職を宛行った(「足利義詮御判御教書」佐々木文書)。いっぽう同年閏一〇月には山内定詮から領家職に半済がかけられた(康暦二年一一月一二日「室町幕府御教書」前田家文書)。定詮の没後もその子信清により度々同様に半済をかけられたため、領家石山寺はその停止を再三にわたり幕府に訴え、康暦二年(一三八〇)六月一二日幕府は信清の押領を停止(「室町幕府御教書」同文書)、信清はいったん当地を離れたものの、翌三年七月再び領家職の半分を押領(同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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