富田林興正寺別院(読み)とんだばやしこうしようじべついん

日本歴史地名大系 「富田林興正寺別院」の解説

富田林興正寺別院
とんだばやしこうしようじべついん

[現在地名]富田林市富田林町

旧富田林寺内町中央にある。真宗興正派、本尊阿弥陀如来。富田林御坊とも称した。戦国時代に開かれた真宗富田林道場に起源する。開基は京都興正寺第一六世証秀で、興正寺の掛所とされた。草創時期は確定できないが、永禄三年(一五六〇)三月日付で美作守(畠山高政の守護代安見直政か)が「富田林道場」宛に定(京都大学蔵杉山家文書「興正寺御門跡兼帯所由緒書抜」所収)を下しているので、同年かこれよりはさかのぼることは確実である。定は五条から成り「諸公事免許之事」「徳政不可行事」「諸商人座(事脱カ)之事」「国質・所質并ニ付沙汰之事」「寺中之儀、何も可為大坂並之事」というものであった。近年の研究によると、「国質」とは債権者が債務者に負債返還を要求しても債務者が応じなかった場合、債権者が第三者である債務者の同国人または同国人の動産を私的に差押える行為を意味し、「所質」も「所」といわれる範囲に含まれる地域の人間、またはその動産を差押える行為で、付沙汰とは訴訟の当事者がなんらかの力をもつ別の人間に依頼して、表面上の当事者になってもらう行為をいい、この定は戦国時代の都市法の一つの典型とされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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