対テロ戦争への取り組み(読み)たいてろせんそうへのとりくみ

知恵蔵 「対テロ戦争への取り組み」の解説

対テロ戦争への取り組み

2001年の同時多発テロ事件以降、オーストラリアのハワード前政権は対テロ戦争において米国と共同歩調をとってきた。その一環として、アフガニスタンには970人のオーストラリア軍兵士が駐留し、同国南部ウルズガン州を中心にISAF(国際治安支援部隊)や復興支援の活動に従事している。またイラクには、1575人のオーストラリア兵が派遣されており、そのうち約500人が同国南部に駐留しているほか、バクダッドのオーストラリア大使館の警備やイラク治安軍の訓練などの任務についている。06年10月には、アフガニスタンに展開する部隊が爆弾による攻撃を受け、複数の兵士が負傷し、1人が死亡した。アフガニスタン、イラクでは、これまで計3人のオーストラリア軍兵士が死亡しているが、直接攻撃による死亡は初のケースとなった。なお、07年11月に行われた総選挙では、ハワード政権のイラク政策に対する批判の高まりを背景に、イラクからの段階的撤退を主張する労働党が勝利した。しかしラッド首相は、撤兵に関しては同盟国と十分協議するとしており、イラク問題について対米配慮の姿勢をうかがわせている。

(竹田いさみ 獨協大学教授 / 永野隆行 獨協大学准教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報