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奈良美智 なら よしとも

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

奈良美智 なら-よしとも

1959- 昭和後期-平成時代の現代美術作家,画家,彫刻家。
昭和34年12月5日生まれ。昭和63年ドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに留学。のちケルンで創作活動。挑戦的な眼差の子どもの絵で評価を得,処女作品集「深い深い水たまり」が注目を集める。平成12年帰国。24年「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」展で芸術選奨文部科学大臣賞。青森県出身。愛知県立芸大卒。

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書籍版「講談社 日本人名大辞典」をベースに、項目の追加・修正を加えたデジタルコンテンツです。この内容は2015年9月に更新作業を行った時点での情報です。時間の経過に伴い内容が異なっている場合がございます。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

奈良美智
ならよしとも
(1959― )

美術家。青森県弘前市生まれ。県立弘前高校卒業後上京し、1979年(昭和54)武蔵野美術大学造形学部実技専修科に入学するが、81年中退。同年愛知県立芸術大学絵画科油画専攻に入学。修士課程修了後、88年ドイツの国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに留学、93年(平成5)マイスターシュウラー(文学士にあたる)を取得。かわいらしい、しかし強くにらみつけるような眼差しを向ける子供など、無垢で無邪気ななかに、孤独で悪魔的な部分をもち合わせる独特の人物や動物を描く。
 ドイツで学びはじめた80年代末から、象徴的な要素を描き込んでいた背景がしだいに消え、デフォルメされた人物や架空の生きものを、太い輪郭線でくっきりと縁どりし、画面の中心に据えるようになる。簡略化された形態や色彩は、童話的な物語性を漂わせ、観るものに子供時代の記憶や感傷的な体験を喚起させる訴求力をもつ。90年代なかば以降、新しい具象絵画の旗手として国際的な注目を集めた。
 95年、個展「深い深い水たまり」(ギャラリーSCAI THE BATHHOUSE、東京)が開催され、これをきっかけに日本での評価が高まる。愛らしさだけではない、心の奥深くに訴える謎や暗さを含んだ作品は、新しい具象絵画の可能性を提示し、当時の日本美術のポップな明るさに、詩的世界の深みをもたらした。
 鋭い感受性によって即興的に描いていく膨大なドローイングも、絵画作品と同等にとらえるべき重要な作品群といえる。文章や言葉を書き加えた奈良のドローイングは、マンガ的、イラスト的な手法を踏襲している、というよりむしろサブカルチャーと美術表現を融合した表現形態によって、ハイ・アートとの境界を消し去った。なかでも1998~2000年『cut』誌で吉本ばななの連載小説『ひな菊の人生』に挿絵を寄せ、文と絵の共作が物語世界をつくるという芸術的な域まで挿絵を昇華させた。
 また、80年代なかばから木彫を手がけ、94年からはFRP(繊維強化プラスチック)を使い、夢見るような表情の犬、子供など絵画世界の登場者を三次元空間においても構成、展開している。立体作品の影響か、96年ごろから平面作品の太い輪郭線が消え、描かれる対象自体が厚みを帯び、薄く色を重ね合わせた微妙な色調の中に浮き上がるようになっていく。またカンバスを張り合わせた凹凸のある画面に描いたり、円形の皿型など立体感ある支持体を使うようになる。
 2000年ドイツより帰国、以降東京を拠点とする。01年、新作による個展「I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME」が国内5か所(横浜美術館、芦屋市美術博物館、広島現代美術館、北海道立旭川美術館、吉井酒造倉庫(弘前市))を巡回。同展では絵画、ドローイング、立体作品に加え、インターネットで募った手製のぬいぐるみをインスタレーションに取り入れ、観客との交流や参加を不可欠な構成要素とする、開かれた新たな作品への試みもなされた。
 サンタ・モニカ美術館(1995)、シカゴ現代美術館(2000)で個展開催、「推定無垢Prsum innocents」展(2000、ボルドー現代美術館)、「パブリック・オファーリングズ」展(2001、ロサンゼルス現代美術館)などの国際展で作品を発表。また挿絵のほか、著作、CDジャケット制作も手がけ、活動の分野は幅広い。[神谷幸江]
『『深い深い水たまり』(1997・角川書店) ▽『Slash with a Knife』(1998・リトルモア) ▽『UKIYO』(1999・リトルモア) ▽『ともだちがほしかったこいぬ』(1999・マガジンハウス) ▽『Super Flat』(2000・マドラ出版) ▽『Lullaby Supermarket』(2001・角川書店) ▽『Nobody Knows』(2001・リトルモア) ▽『Nara Note』(2001・筑摩書房) ▽「奈良美智」(『美術手帖』2000年7月号所収・美術出版社) ▽「奈良美智・読本」(『美術手帖』2001年12月号所収・美術出版社) ▽吉本ばなな著『ハードボイルド/ハードラック』(1999・ロッキング・オン) ▽吉本ばなな著『ひな菊の人生』(2000・ロッキング・オン) ▽松井みどり著『アート――“芸術”が終わった後の“アート”』(2002・朝日出版社) ▽仙頭直美著『萌の朱雀』(幻冬社文庫) ▽「TOKYO POP――新しい美術のイメージ」(カタログ。1996・平塚市美術館) ▽「ヒニクなファンタジー――現代5人の想像世界」(カタログ。1996・宮城県美術館) ▽「時代の体温――ART/DOMESTIC」(カタログ。1999・世田谷美術館) ▽「I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME」(カタログ。2001・淡交社)』

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