藤本義一(読み)フジモトギイチ

デジタル大辞泉 「藤本義一」の意味・読み・例文・類語

ふじもと‐ぎいち〔ふぢもと‐〕【藤本義一】

[1933~2012]小説家放送作家。大阪の生まれ。本名、義一よしかずラジオドラマや映画のシナリオを執筆するかたわら、テレビの深夜番組の司会、若手の漫才師の育成など幅広く活躍。小説では、軽妙な大阪弁を生かした作品や、大阪人の伝記などで人気を集め、「鬼のうた」で直木賞受賞。他に「蛍の宿」「大いなる笑魂」「元禄流行作家」など。

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共同通信ニュース用語解説 「藤本義一」の解説

藤本義一

藤本義一ふじもと・ぎいち 33年堺市生まれ。大阪府立大在学中から放送作家として活躍し、74年「鬼のうた」で直木賞を受賞。人気テレビ番組「11PM」の司会を長年務めた。2014年4月には、遺品蔵書を集めたギャラリー「藤本義一の書斎」が兵庫県芦屋市にオープンした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤本義一」の意味・わかりやすい解説

藤本義一
ふじもとぎいち
(1933―2012)

放送作家、小説家。大阪生まれ。本名義一(よしかず)。大阪府立大学経済学部卒業。1957年(昭和32)ラジオドラマ『つばくろの歌』で芸術祭文部大臣賞を受賞。シナリオ「駅前シリーズ」「悪名(あくみょう)シリーズ」などを書く。その後放送作家として『法善寺横丁』ほか多くの作品を書き、またテレビのレギュラー司会を務めるなど多方面に活躍。1974年には『鬼の詩(うた)』で直木賞を受賞。おもな著書に作品集『鬼の詩』(1974)、『大いなる笑魂(しょうこん)』(1977)、『西鶴(さいかく)くずし・好色一代男』(1978)、『人間萬事(ばんじ)』(1986)、『女の淵(ふち)』(1980)、『蛍(ほたる)の宿』(1986。日本文芸大賞)など。『蛍の宿』は、大阪が生んだ作家織田作之助(おださくのすけ)の伝記で、その後『蛍の宴(うたげ)』(1987)、『蛍の街』(1988)、『蛍の死』(1989)と書き継ぎ「わが織田作」四部作を完成させた。そのほかの作品に、連作短編集『迷子の天使たち』(1993)、短編作品集『三条木屋(きや)町』(1994)、エッセイ集などに『けったいな人たち――日本異人伝』(1994)、『なにわ商人(あきんど)1500年の知恵』(1994)、『人生の賞味期限』(2001)、『人生は、いつも始発駅』(2001)、『人生の自由時間』(2001)などがある。1999年(平成11)には、阪神淡路大震災遺児孤児、被災児のための心のケアハウス浜風の家」をオープンした。

[遠矢龍之介]

『『西鶴くずし・好色一代男』(1978・徳間書店)』『『女の淵』(1980・講談社)』『『人間萬事』(1986・毎日新聞社)』『『蛍の宿』『蛍の宴』『蛍の街』『蛍の死』(1986~1989・中央公論社)』『『迷子の天使たち』(1993・新潮社)』『『三条木屋町』(1994・ラインブックス)』『『けったいな人たち――日本異人伝』(1994・双葉社)』『『人生の賞味期限』(2001・岩波書店)』『『人生は、いつも始発駅』(2001・朝日新聞社)』『『人生の自由時間』(2001・岩波書店)』『『贋芸人抄』『西鶴くずし・好色六人女』(角川文庫)』『『鬼の詩』『生きいそぎの記』(講談社文庫)』『『元禄流行作家――わが西鶴』(新潮文庫)』『『大いなる笑魂』(文春文庫)』『『なにわ商人1500年の知恵』(講談社+α文庫)』

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知恵蔵mini 「藤本義一」の解説

藤本義一

小説家、放送作家、司会者、心斎橋大学(プロ作家養成スクール)総長。1933年1月26日大阪府堺市生まれ、2012年10月30日没。本名の読みは「ふじもとよしかず」。45年5月、航空機搭乗員養成所に入るが終戦となったのち新制浪速高校に進み、大阪府立浪速大学(現・大阪府立大学)へ進学、教育学部から経済学部へ転部し卒業した。在学中より脚本家を目ざしラジオドラマの懸賞に次々と入選、卒業前年の57年に執筆したラジオドラマ作品「つばくろの歌」で同年度の芸術祭文部大臣賞戯曲部門を受賞し、早熟の才能を世間に知らしめた。58年、学生時代に知り合っていた後のタレント・藤本統紀子と結婚。映画監督・川島雄三に師事して幾多の映画脚本を手がけた。65年には一世を風靡したバラエティ情報番組「11PM」(日本テレビ・讀賣テレビ共同製作)のキャスターとなり、90年の番組終了まで25年に渡って毎週2回を担当した。69年には長編小説第2作となる『ちりめんじゃこ』で初めて直木賞候補となり、『鬼の詩』で74年上半期の第71回直木賞を受賞。多くの小説、エッセイ、社会・文芸評論、脚本を執筆、テレビでもコメンテーターや評論家として活躍し続けた。2012年、肺がんのため死去。享年79。

(2012-11-2)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤本義一」の解説

藤本義一 ふじもと-ぎいち

1933-2012 昭和後期-平成時代の放送作家,小説家。
昭和8年1月26日生まれ。大阪府立大在学中から「つばくろの歌」などラジオドラマの脚本をかく。卒業後,映画会社各社で多数のシナリオを執筆。昭和40年からテレビの深夜番組「11PM」の司会者をつとめるなど,幅ひろく活躍。49年「鬼の詩(うた)」で直木賞。若手漫才師,漫才作家の育成にもあたった。妻はエッセイストの藤本統紀子。平成24年10月30日死去。79歳。大阪出身。本名は義一(よしかず)。作品はほかに「元禄流行作家―わが西鶴」など。

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百科事典マイペディア 「藤本義一」の意味・わかりやすい解説

藤本義一【ふじもとぎいち】

放送作家,小説家,テレビ司会者。本名義一(よしかず)。大阪府生れ。大阪府立大卒。在学中の1957年《つばくろの歌》で芸術祭戯曲部門文部大臣賞。映画・放送のシナリオを多数執筆する一方,日本テレビ《11PM》の大阪側司会者として活躍した。小説では,1974年《鬼の詩(うた)》で直木賞。《生きいそぎの記》《元禄流行作家――わが西鶴》など,上方を舞台に特異な人間像を描いている。

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367日誕生日大事典 「藤本義一」の解説

藤本 義一 (ふじもと ぎいち)

生年月日:1933年1月26日
昭和時代;平成時代の小説家;放送作家;テレビ司会者

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