導電性ガラス(読み)ドウデンセイガラス

化学辞典 第2版 「導電性ガラス」の解説

導電性ガラス
ドウデンセイガラス
electrically conductive glass

高い電気伝導性あるいはイオン導電性を有するガラス.電気伝導性のガラスの場合,透明な導電性皮膜をつけたガラスをさすことが多い.NESAコーティングともよばれる導電性皮膜にはさまざまなものがあるが,SnO2,Sb2O3,In2O3などがおもに利用されており,厚さ0.2~0.4 μm で10~500 Ω cm-2 程度の低抵抗が得られている.しかし,これらの抵抗値は製造条件と微量添加物(活剤,修飾剤)に大きな影響を受ける.SnO2-Sb2O3,In2-Sn2O2,CdO-In2O3など,さまざまな系が用いられており,塩化物の塩酸溶液をスプレーでかけて熱分解する方法,真空蒸着した金属膜を酸化する方法などがある.単に透明な加熱板として,交通機関の窓ガラスなどに用いる以外に,固定コンデンサー,パネルルミネセンス,瞬時点灯型蛍光灯,熱線反射ガラス,抵抗体,ビディコンプラズマディスプレーなどの利用法がある.一方,イオン導電性ガラスとしては,AgI-Ag2O-P2O5系,AgI-Ag2O-MoO3系ガラスなどの Ag イオン導電性ガラス,Li2S-SiS2-Li4SiO4系,Li2S-SiS2-P2S5系などの Li イオン導電性ガラスなどがあり,固体電池電解質として期待されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「導電性ガラス」の意味・わかりやすい解説

導電性ガラス
どうでんせいガラス
conductive glass

ガラスの表面に透明導電膜をつけたもの。一般に広く用いられるのは透明導電膜として酸化スズ SnO2 や酸化インジウム In2O3 を主成分とする薄膜を用いたものであり,酸化スズを主成分とするものはネサガラスとも呼ばれる。ガラスの基板上に塗布した塩化スズ SnCl2塩化インジウム In2Cl3 を酸化させるなどして膜状につくる。導電率を制御するために,少量のアンチモンやインジウムなどが加えられる。 EL素子や撮像管などの透明電極として用いられる。また,これとは別に,V2O5 ,WO3 ,BaO ,P2O5 などを混合したものを空気中で加熱してつくったガラスは導電性があり,これを半導体ガラス semiconductive glassと呼ぶことがある。この半導体ガラスはすぐれた負性抵抗を示し,その抵抗値が温度に対して敏感なところからサーミスタとして利用される。

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