熱線吸収ガラスと同様に熱線の遮断を目的とするガラスであるが,主として建造物用に使用される。熱線吸収ガラスでは,吸収したエネルギーでガラス自体の温度が上昇することによる間接的なエネルギーの室内への流入が防止できない。熱線反射ガラスは,ガラス表面を処理して反射率を高めることで,さらに効果的なエネルギーの遮断を目的としたものである。半鏡面のような外観をもつため,新しい視覚的な効果もある。板ガラスの表面を処理し,金属あるいは金属酸化物の薄膜を形成することによって反射膜をつくる。すなわち,高温状態にあるガラス表面にチタン,スズなどを含有する溶液を噴霧する方法,スパッタリングによる方法,化学めっきによる方法などがあるが,実用上は噴霧法によるものが大部分である。厚さ6~12mm,大きさ7620mm×2438mmまでのものが市販されている。
執筆者:安井 至
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ガラス表面に、赤外線を反射する薄膜がコーティングされたガラス。赤外線反射ガラスともよばれる。可視光を透過し赤外線を効率よく反射するため、建材用として用いた場合には、室内の冷房負荷を低減でき、省エネルギー効果が期待できる。また、鏡のような外観を有することから建築物に美観を与える。薄膜には、反射を高めるために、高い電気伝導性を有した金属や窒化物、また高い屈折率を有した酸化物が用いられる。金属や酸化物の薄膜は、化学めっき法やスパッタリング法(加速したイオンをターゲットに衝突させて原子や分子を放出させることにより、基板上へ薄い膜を形成する方法)などを用いてガラス表面に成膜されたり、金属イオンとしてガラス表面に押し込むことで得られる。熱線反射ガラスは、事務所ビル、商業ビル、公共施設、文化施設などの窓、防眩(ぼうげん)性が要求される場所に用いられる。
[伊藤節郎]
『作花済夫・伊藤節郎・幸塚広光・肥塚隆保・田部勢津久・平尾一之・由水常雄・和田正道編『ガラスの百科事典』(2007・朝倉書店)』
…またガラス部分の多い場合は,ガラス面での熱の出入りが著しいので冷暖房費がかさまないよう断熱効果を増すガラスを使用するほか,ガラス面の不安感やガラスが割れた場合の飛散に対する配慮が求められている。熱線反射ガラス(鏡面ガラス)を全面に取り付けた場合には,昼間,周囲の風景を映し出すため,その建物の存在を薄めるかのような効果もみられる。現在ではほとんどの高層建築の外観は,ガラスでない面も含めてカーテンウォールの構法によって実現されており,中低層の一般的な建築にも応用されている。…
※「熱線反射ガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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