日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱線反射ガラス」の意味・わかりやすい解説
熱線反射ガラス
ねっせんはんしゃがらす
heat reflective (reflecting) glass
ガラス表面に、赤外線を反射する薄膜がコーティングされたガラス。赤外線反射ガラスともよばれる。可視光を透過し赤外線を効率よく反射するため、建材用として用いた場合には、室内の冷房負荷を低減でき、省エネルギー効果が期待できる。また、鏡のような外観を有することから建築物に美観を与える。薄膜には、反射を高めるために、高い電気伝導性を有した金属や窒化物、また高い屈折率を有した酸化物が用いられる。金属や酸化物の薄膜は、化学めっき法やスパッタリング法(加速したイオンをターゲットに衝突させて原子や分子を放出させることにより、基板上へ薄い膜を形成する方法)などを用いてガラス表面に成膜されたり、金属イオンとしてガラス表面に押し込むことで得られる。熱線反射ガラスは、事務所ビル、商業ビル、公共施設、文化施設などの窓、防眩(ぼうげん)性が要求される場所に用いられる。
[伊藤節郎]
『作花済夫・伊藤節郎・幸塚広光・肥塚隆保・田部勢津久・平尾一之・由水常雄・和田正道編『ガラスの百科事典』(2007・朝倉書店)』