小井手保(読み)こいでほ

日本歴史地名大系 「小井手保」の解説

小井手保
こいでほ

現富山市水橋小出みずはしこいでを遺称地とする。中世末期には小出とも記される。康治元年(一一四二)一〇月日の宮道季式寄進状(祇園社記)堀江ほりえ(現滑川市)などの四至として「南限里可流并小井手堺」、元久二年(一二〇五)九月一六日の太政官符(八坂神社文書)には堀江保の四至として「南限小井手江流、西限小井手堺」とあり、京都祇園社領堀江庄は南を小井手川(現小出川の前身か)で限られ、西は国衙領小井手保に接していた。この地には在庁官人系の豪族小井手氏が割拠していた。貞治六年(一三六七)楡原にれはら(現婦負郡)を小井手一族・甕信濃守らが押妨したため、斎藤常喜との間に相論が起き、室町幕府が斎藤氏の楡原保領有を認める裁定を下していることから(同年二月五日「足利義詮御教書案」聞名寺文書)、小井手氏は幕府に対抗していた桃井派に属していたとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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