小仏師(読み)しょうぶっし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小仏師」の意味・わかりやすい解説

小仏師
しょうぶっし

仏像造顕の作者である仏師のうち、主管(長上工、棟梁(とうりょう))である大仏師の下でその手足となって働く仏師のこと。少仏師とも書く。『左経記(さけいき)』寛仁(かんにん)4年(1020)の条に少仏師としてみえるのが初例で、そのときの主宰仏師は康尚(こうしょう)であった。のちにその子定朝(じょうちょう)が大仏師とよばれた例があり、それ以前の小仏師には弟子の語が用いられ、康尚も単に仏師とよばれているので、大仏師・小仏師の名称がはっきりするのは定朝の世代と思われる。像の大きさにもよるが、大仏師の下には数人ないし十数人の小仏師がついて仕事をするのが通例であった。

[佐藤昭夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の小仏師の言及

【仏師】より

…職業仏師の祖といわれる定朝の父康尚(こうじよう)も叡山のこうした組織のなかから出てきた人物と思われるが,彼の場合は晩年に邸宅兼工房を持って生活していたらしく,資格としては土佐講師という僧としての肩書も備えている。このころから仏師の工房である仏所が定着するようになるが,その長上たる人物を大仏師といい,その下位にあって大仏師の手足となって働く者を小仏師と呼ぶようになる。大仏師の語はすでに奈良時代に東大寺大仏の造立に当たった国中(連)公麻呂(?‐774)の肩書として用いられているが,これは平安以後の大仏師とは意味を異にし,工人の棟梁に対する美称だと考えられる。…

※「小仏師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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