小坂峠(読み)こさかとうげ

日本歴史地名大系 「小坂峠」の解説

小坂峠
こさかとうげ

小原おばらと福島県伊達だて国見くにみ町小坂の県境の分水界。標高四四一メートル。古くは鳥取ととり越といわれ、「所謂冠小坂今小坂嶺也」としてあるが明らかでない(信達歌考証)。江戸時代以降、大峠・児坂嶺・大坂嶺おおとうげ(観蹟聞老志)、産坂(享保一四年「小坂通江戸道中記」鶴岡市郷土資料館蔵)などの異称があった。また郷人は児安こやす坂などともいうが、このいわれは貝田かいだ(現国見町)の一妊婦がこの峠を登り頂上安産したという伝承に基づく。「観蹟聞老志」は、峠の小石が安産のお守りとして用いられていると付記する。

天正七年(一五七九)冬、三春みはる(現福島県田村郡三春町)城主田村清顕の嫡女愛姫が米沢城の伊達政宗に嫁ぐとき、「板(峠脱カ)雪深キ故ニ小坂路ヲ経テ到リ給フ」(性山公治家記録)とあるのが峠名の初見。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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