板屋(読み)イタヤ

精選版 日本国語大辞典 「板屋」の意味・読み・例文・類語

いた‐や【板屋・板家】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 板で葺いた屋根。板屋根。板葺き屋根。
    1. [初出の実例]「いた屋の上にてからすの斎の生飯(さば)食ふ」(出典:枕草子(10C終)二五六)
  3. 屋根を板で葺いた家。板葺きの家。
    1. 板屋<b>②</b>〈春日権現験記絵〉
      板屋〈春日権現験記絵〉
    2. [初出の実例]「其板屋草舎、中古遺制、難営易破」(出典:続日本紀‐神亀元年(724)一一月甲子)
    3. 「檜皮の大殿五、廊、渡殿、さるべきあてあてのいたやどもなど」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. 能楽作物(つくりもの)の一つ。六尺(約一・八メートル)と三尺(約〇・九メートル)の家台に、折板(へぎいた)で一部を残して屋根を葺いたもの。「雨月(うげつ)」に用いる。
  5. 江戸時代に、板を販売した商家。また、その業者。
  6. いたやかえで(板屋楓)
    1. [初出の実例]「板家(イタヤ) 葉十二ひとへのごとくにて大きさ四五寸ほどもある物大木の下には雨もらざるよし」(出典:花壇地錦抄(1695)三)
  7. 植物はうちわかえで(羽団扇楓)」の異名
  8. いたやがい(板屋貝)」の略。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「板屋」の読み・字形・画数・意味

【板屋】ばんおく(をく)

いたや。〔漢書、地理志下〕天水西(ろうせい)は山に林木多し。民、板を以て室屋を爲(つく)る。

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