日本大百科全書(ニッポニカ) 「小惑星のスペクトル型」の意味・わかりやすい解説
小惑星のスペクトル型
しょうわくせいのすぺくとるがた
Asteroid spectral types
小惑星を表面の色や形状から分類する方法。小惑星の表層の組成を推定するのに用いられる。さまざまな分類法があるが、表面からの反射光のスペクトルにより、大きく五つ(C型、S型、X型、D型、V型)に分類するのが一般的である。
C型は可視光域でほぼフラットで、紫外光域では落ちる。赤外光域でもフラットであるが、3マイクロメートル帯に含水鉱物起源の吸収がある。これらの特徴から、組成は炭素質コンドライトが成分であると考えられている。C型小惑星は一番多く発見されていて、小惑星帯の外側になるほど、その割合が増える傾向がある。
S型は可視光域で0.4から0.7マイクロメートルで反射率が上がり、0.7から0.9マイクロメートルで反射率が下がる。赤外光域で2マイクロメートル帯に吸収がある。これらの特徴から、組成は輝石と橄欖(かんらん)石が成分であると考えられている。
X型は0.4から0.9マイクロメートルで、波長が長くなるにつれ反射率が緩やかに上がる。これらの特徴から、組成は鉄隕石(いんせき)、エンスタタイトコンドライト、エンコンドライトなどであると考えられている。
D型は0.45から0.9マイクロメートルで、波長が長くなるにつれ反射率が急に上がる。これらの特徴から、組成は炭素質コンドライトより始原的なタイプのタギッシュレイク隕石であると考えられている。
V型は0.4から0.7マイクロメートルで、波長が長くなるにつれ反射率が上がるが、0.7から0.9マイクロメートルで反射率が下がる。2マイクロメートル帯に吸収がある。これらの特徴から、組成は輝石であると考えられている。
[編集部 2023年12月14日]