小林寿郎(読み)こばやし・としお

朝日日本歴史人物事典 「小林寿郎」の解説

小林寿郎

没年:大正11.6.5(1922)
生年:安政4(1857)
明治期の農事指導者。会津藩士の家に生まれる。会津藩(福島県)は明治維新の変革によって斗南藩として陸奥(青森県)上北下北三戸郡移封され,この地で彼は,開墾事業の指導者でわが国最初の英国式牧場を経営した広沢安任に認められ,上北郡役所で郡内の勧業策に従事した。明治21(1888)年に米国に渡って牧畜業を視察し,種牛馬を購入して帰国。25年には日本で最初の本格的なジャガイモの栽培技術書である『馬鈴薯』を『勧農叢書』の1冊として刊行した。先人や欧米の知識を織りまぜていて,必ずしも正確なものではないが,わが国におけるジャガイモ栽培の重要性を説いており,上北郡の農業開発に生涯をささげた彼の意気込みが反映されている。

(佐藤常雄)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小林寿郎」の解説

小林寿郎 こばやし-としお

1857-1922 明治-大正時代の農業指導者。
安政4年生まれ。父は陸奥(むつ)会津(あいづ)藩(福島県)藩士。維新後,青森県上北郡にうつりすみ,広沢安任(やすとう)にみとめられ郡内の農事指導にあたる。明治21年アメリカにわたり,牧畜業を視察し帰国。25年ジャガイモの栽培技術書「馬鈴薯(ばれいしょ)」を刊行した。大正11年6月5日死去。66歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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