小柴垣草紙(読み)こしばがきそうし

精選版 日本国語大辞典 「小柴垣草紙」の意味・読み・例文・類語

こしばがきそうし‥サウシ【小柴垣草紙・小柴垣草子】

  1. 絵巻物。一巻。絵は藤原信実または住吉慶恩詞書(ことばがき)は藤原為家または通具筆と伝えるが確証はない。「日本紀略」「本朝世紀」「帝王編年記」「十訓抄」第五にある寛和二年(九八六)六月の斎宮(斎子内親王)と公役の滝口平致光との醜聞を描いたもの。もと古筆了伴が所持し嘉永二年(一八四九)徳川家に献じたが安政六年(一八五九焼失模本が東京国立博物館他にある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の小柴垣草紙の言及

【春画】より

…あからさまな秘戯の図ではなく,入浴の場面など女性の裸体を見せる好色的な絵は,別に〈あぶな絵〉と称して区別している。《古今著聞集》にも〈ふるき上手どもの書きて候おそくづの絵〉と記すように,落書のようなものではなしに専門の画家による春画の歴史はかなり古く,中世に入れば《小柴垣草紙(こしばがきぞうし)》(13世紀),《稚児草紙》(14世紀,鎌倉末期)など絵巻物の傑作を生んでいる。合戦に出陣する武士の魔除けとして,嫁入りの女性の性教育用として,あるいは純然たる楽しみのために,各時代,各派の画家の手がけるところであったが,江戸時代に入ると浮世絵師がもっとも熱心にこれの作画に当たった。…

【稚児草紙】より

…1巻で詞5段,絵5段から成り,各画面はいずれも僧と稚児の秘戯の図で,画中に2人の対話を書き入れている。斎宮と滝口の武士,平致光(むねみつ)の秘戯を描いた《小柴垣草紙》(鎌倉時代)などとともに,絵巻の中で異色のジャンルをなす。奥書に元亨元年(1321)書写とあり,繊細な描写やおだやかな彩色などこの時代の絵巻の特色を示し,それがあらわな性描写を和らげている。…

※「小柴垣草紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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