公役(読み)クヤク

  • ▽公役
  • こうえき
  • こうやく

世界大百科事典 第2版の解説

江戸時代,江戸の町々に課せられた幕府御用の人足を負担する義務をいう。城下町に集住する商工業者としての本来的な町人身分は地子銀すなわち年貢の免除の代りに家屋敷所持高を基準とする役負担者として把握されていた。この場合,一般の人足役としての公役を負担する町人の町と,鍛冶,研師,大工桶屋畳屋伝馬などの特定の技術労働を国役として負担する町人の町とがあった。このほかに元来は代官領であって後に開けて市街地となった地子銀を納める町(町並地)や地子を寺社へ納めるが役負担のない寺社領,寺社門前の町もあった。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「く」は「公」の呉音)
① 公用の課役。公的な賦課。所役。法令、あるいは支配者の命令によって課せられた労働。役(え)。夫役(ぶやく)
※続日本紀‐天平神護二年(766)五月丁丑「太政官奏曰〈略〉藤野郡者、地是薄塉、人尤貧寒。差科公役、触途忩劇」
※随筆・折たく柴の記(1716頃)中「大名・御旗本の人々、公役(クヤク)にしたがはむ事」
② 江戸時代、地子(じし)の代償として江戸、大坂などの町人へ課した賦役。当初は間口五~一七間までを一人役とし、年間二二人内外を出役させたが、享保(一七一六‐三六)以降金納となった。
※正宝事録‐一八四一・享保七年(1722)四月二六日「畢竟町屋之儀に候得は、町並之通公役不相勤罷有候儀は有之間鋪事に候」
〘名〙
① 国家または公共団体から強制的に命じられたつとめ。兵役などの類。くえき。〔現代大辞典(1922)〕
② 公務。また、公務にたずさわる者。官吏。公務員。
※夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部「吾家(うち)へはその事でわざわざ公役が見えましてね」
〘名〙
① 中世、公的な賦課、所役。くやく。
② 江戸、大坂などの町人に課した公費。町奉行所や町会所の経費にあてるための役銀。くやく。

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世界大百科事典内の公役の言及

【町役】より

…この国家や領主権力への役負担などの中心は,町人足役(ちようにんそくやく)と,伝馬役(てんまやく)とである。 町人足役は公役(くやく),町夫(ちようぶ)とも呼ばれ,町人身分の者が勤める人足役,すなわち労役の奉仕を意味する。町人足役は非常に多様な内容をもち,城郭をはじめとする権力の諸施設の建設や修理,またそれらの維持・管理に伴う手伝(てつだい)人足や雑役労働,領主の賄方(まかないかた)(台所)への手伝人足や料理人,堀や河川,道路,橋梁の普請・修理や清掃の人足,火消や防火のための人足などからなり,国家や領主権力の都市居住に伴って発生する,膨大な雑役に従事することが基本的な内容であった。…

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