帝王編年記(読み)ていおうへんねんき

百科事典マイペディア 「帝王編年記」の意味・わかりやすい解説

帝王編年記【ていおうへんねんき】

神代(じんだい)から鎌倉時代後期の後伏見(ごふしみ)天皇(在位1298年−1301年)に至るまでの年代記。《歴代編年集成》《帝王編年集成》などともいう。成立は1364年から1380年までの間と考えられている。撰者は僧永祐(えいゆう)と伝えられているが,確証はない。漢文の編年体で記された歴代天皇の年代記で,インドや中国の史実なども採録されている。六国史(りっこくし)や《吾妻(あづま)鏡》など典拠とされた書名は多く,なかには原書の失われたものも見られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「帝王編年記」の意味・わかりやすい解説

帝王編年記 (ていおうへんねんき)

神代より後伏見天皇(在位1298-1301)までの歴史を漢文編年体で記した記録。異称《歴代編年集成》《帝王編年集成》《歴代編年記》《扶桑編年録》。全27巻。撰者は鎌倉末の僧永祐と伝えられるが確証はない。インド・中国の史実も広範囲に採録しており本書の特徴の一つをなす。また本書のみに述べられている事柄もかなりの数にのぼるが,こうした記事については十分な史料批判が必要となろう。《国史大系所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「帝王編年記」の意味・わかりやすい解説

帝王編年記
ていおうへんねんき

年代記。30巻(現存するのは27巻)。僧永祐(えいゆう)(南北朝時代の人、伝未詳)の編。『歴代編年集成』『帝王編年集成』『歴代編年記』『扶桑(ふそう)編年録』など、写本によっていろいろの別名がある。神武(じんむ)天皇から北朝の後光厳(ごこうごん)天皇(あるいは後円融(ごえんゆう)天皇)までを扱っていたらしいが、現在、最後の三巻が散逸しているため、後伏見(ごふしみ)天皇(13世紀末)までの部分しか伝わらない。各天皇ごとにまとめられ、まずその時代の事件を記し、ついで各皇族略伝や、公武の重職にあった人物、主要寺院の歴代などが掲げられている。『国史大系』所収。

益田 宗]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帝王編年記」の意味・わかりやすい解説

帝王編年記
ていおうへんねんき

神代から後光厳天皇か後円融天皇までの年代記。 30巻。『歴代編年集成』ともいう。最後の3巻が散逸しているため,後伏見天皇までの 27巻が現存。編者は僧永祐と伝えられ,成立は正平 19=貞治3 (1364) ~天授6=康暦2 (80) 年の間であろう。各天皇ごとに事績とその時代に生起した事柄とを年代順に記し,皇族,摂関,大臣,将軍,執権,六波羅探題,仁和寺門跡,興福寺別当,東寺長者,天台座主の任命記事を掲げている。六国史をはじめとする諸書から抜粋したものであるが,個人の編纂した中世の歴史書の代表的なもの。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「帝王編年記」の解説

帝王編年記
ていおうへんねんき

「歴代編年集成」「帝王編年集成」とも。歴代の天皇紀を中心とする年代記の一種。神代から鎌倉末期の後伏見天皇までを収める。27巻。永祐撰と記す写本がある。南北朝期の成立。天皇ごとに,略歴や重要な世事,インド・中国のできごとをあわせて編年に並べ,次に皇族をはじめ摂関以下・幕府・僧侶の要職の補任を記す。編纂の材料は六国史や「吾妻鏡」など。まれに典拠を掲げ,なかにはすでに亡失した書もあり,他にはみられない記事も含む。類書のなかでも年代記の記事が詳しく,「一代要記」と並んで重要。写本は多いが,神宮文庫本が善本とされる。「新訂増補国史大系」所収。

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