国指定史跡ガイド 「小湊フワガネク遺跡」の解説
こみなとフワガネクいせき【小湊フワガネク遺跡】
鹿児島県奄美市名瀬小湊にある集落跡。奄美大島の中部、太平洋岸の標高約9mの砂丘上に立地する。小湊は大字名、フワガネクは字名の外金久。1997年(平成9)に隣接する学校施設の拡張計画にともなう調査で発見され、2002年(平成14)まで発掘調査が行われた結果、遺跡中央で炉のある掘立柱建物4棟、北側で墓1基が確認された。また、食用にされたと考えられる貝殻や獣骨、魚骨などが多数出土し、土器(奄美諸島を中心に用いられた兼久(かねく)式土器)や鉄器のほかに、ヤコウガイ製貝匙(かいさじ)、イモガイ製貝符などの貝製品と大量の未製品が、敲(たた)き石や磨り石とともに発見されたことから、ここが6~8世紀に属する貝製品の製作現場であったことがわかった。当時の生活や交易などを知るうえで貴重な遺跡として、2010年(平成22)に国の史跡に指定された。名瀬港から車で約44分。