小田用水(読み)おだようすい

日本歴史地名大系 「小田用水」の解説

小田用水
おだようすい

[現在地名]安佐北区高陽町小田

太田おおた川の水が増えれば冠水し、減れば旱魃になる小田村の状況をみた庄屋丸子市郎兵衛父子によって築かれたと伝える用水。市郎兵衛は灌漑用水路を開くことを志したが病気で果さず、子の市兵衛がその遺志を引継いだ。難工事のため藩の許可と村人の理解は得られなかったが、市兵衛の決意は堅く、再三藩に出願し、斬罪を覚悟して氏神弘住ひろずみ八幡宮に自分の首をさらす棚を作るほどであった。やっと許可を得、全財産をなげうつ市兵衛を見た村人は進んで協力、明暦二年(一六五六)春、二年の歳月をもって完成、五〇町の田に水を引くことが可能になったという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

関連語 本流 新川

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android