改訂新版 世界大百科事典 「小葉植物」の意味・わかりやすい解説
小葉植物 (しょうようしょくぶつ)
Microphyllophyta
ヒカゲノカズラ類Lycopsida(英名lycopods),石松(せきしよう)綱などともいう。シダ植物(無種子維管束植物)のうち,小葉性の葉をもった植物群で,現生にはヒカゲノカズラ属,イワヒバ属,ミズニラ属など5属があり,古生代に繁茂した鱗木(りんぼく)や蘆木(ろぼく)なども含まれる。最近の研究によれば,主軸が単軸分岐をし,軸生の胞子囊をつけ,小葉をもった植物は,裸茎植物の一群であるゾステロフィルム群から由来したものであり,この系統の植物群は大葉性の葉をもった他の維管束植物と異なった起源のものであることが示されている。枝条から由来する大葉と,軸表面の隆起から発展してきた小葉とは起源が異なり,同じような機能をもった葉であってもお互いに相同な器官とはいえない。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報