精選版 日本国語大辞典 「少も」の意味・読み・例文・類語
すこし【少】 も
- ( 副詞「すこし」に係助詞「も」の付いたもの )
- ① ( 肯定の表現とともに用いて ) わずかでも。わずかながら。
- [初出の実例]「世中に多かる人をだに、すこしもかたちよしと聞きては、見まほしうする人どもなりければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「いますこしも日数ののぶるをうれしき事におもはれけり」(出典:平家物語(13C前)一一)
- ② ( 否定の表現とともに用いて ) その程度、度合が零であることを示して、否定の気持を強める。全然。ちっとも。
少もの語誌
( 1 )中古では「すこし‐も」の意識で「すこし」を強めたものであったため、和文脈ではおおむね肯定形にかかる①の用法が主であった。
( 2 )中古後期の「今昔物語集」などにおいて、肯定形と否定形とに相半ばしてかかるようになり、中世になると一般に否定形にかかる②の用法が主になる。特に、説話文学において、常套的な強調表現の一種として用いられたものが、一般の口頭語にまで広がったものと思われる。