少年俱楽部(読み)しょうねんクラブ

改訂新版 世界大百科事典 「少年俱楽部」の意味・わかりやすい解説

少年俱楽部 (しょうねんクラブ)

少年を対象とした月刊総合雑誌。1914年11月創刊,62年12月まで,臨時増刊号を含めて48年間に611冊を刊行。大日本雄弁会講談社発行。明治期には,北隆館その他から3種類の同名の《少年俱楽部》が発行されたが,いずれも短命におわり,《少年俱楽部》といえば講談社版を指す。発行当初から野間清治講談社社長の〈面白くてためになる〉という編集方針で一貫し,1920年代から高垣眸《竜神丸》,吉川英治《神州天馬俠》,大仏次郎《角兵衛獅子》,佐藤紅緑《あゝ玉杯に花うけて》,佐々木邦《苦心学友》,山中峯太郎《敵中横断三百里》,南洋一郎《吼(ほ)える密林》などの大衆児童文学の傑作を掲載し,1930年代には発行部数100万といわれる黄金時代を築いた。伊藤彦造,椛島勝一,斎藤五百枝,山口将吉郎など,多くの人気挿絵画家を世におくり,《のらくろ》の田河水泡,《冒険ダン吉》の島田啓三などの漫画家を育てた功績も大きい。第2次大戦後,《少年クラブ》と改め再出発したが,ストーリー漫画による週刊誌やテレビの時代に適応できず廃刊となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の少年俱楽部の言及

【児童雑誌】より

…22年から《金の星》と改題),《童話》(1920),《コドモノクニ》(1922)などがあるが,ほとんどみな大正期のみで姿を消した。一方,全国的に人気があった大衆的児童雑誌は《少年俱楽部》(1914),《譚海》(1920),《少女俱楽部》(1923),《幼年俱楽部》(1926)などで,とくに《少年俱楽部》に連載された少年小説や《のらくろ》に代表される漫画の数々は,熱狂的に愛読され,その影響力は非常に大きいものがあった。 昭和初期には,プロレタリア児童誌《少年戦旗》(1929)が生まれたが,すぐ廃刊になり,1937年の日中戦争を境にして児童雑誌も徐々に統制され,44年には《日本ノコドモ》《良い子の友》《少国民の友》《少年俱楽部》《少女俱楽部》の5誌だけになった。…

※「少年俱楽部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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