田河水泡(読み)たがわすいほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

田河水泡
たがわすいほう

[生]1899.2.10. 東京
[没]1989.12.12. 神奈川
漫画家。本名,高見沢仲太郎。 1925年日本美術学校図案科卒業。版画を制作し前衛美術運動にも参加したのち子供漫画へ進み,『少年倶楽部』連載の『のらくろ』 (1931~41) で名を揚げた。軍国主義化の時勢を反映したこの空前の人気漫画は,軍隊に入隊した孤児の黒いのら犬を主人公としたもの。ほかに『蛸の八ちゃん』『凸凹黒兵衛』『豆象さん』などを,講談社の雑誌に連載。第2次世界大戦後の作品には『珍品のらくろ草』『チンパンジー HB』などがあるが,どの作品にも作者の落語への傾倒ぶりを示す人物のおどけた会話があり注目される。著書に『のらくろ自叙伝』 (76) ,『滑稽の構造』 (81) がある。

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デジタル大辞泉の解説

たがわ‐すいほう〔たがはスイハウ〕【田河水泡】

[1899~1989]漫画家。東京の生まれ。本名、高見沢仲太郎。前衛美術グループ「MAVO」の一員として活動したのち、犬の軍隊生活を描いた「のらくろ」シリーズを執筆、絶大な人気を集めた。他に「窓野雪夫さん」「蛸(たこ)の八ちゃん」など。

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百科事典マイペディアの解説

田河水泡【たがわすいほう】

漫画家。本名高見沢仲太郎。東京生れ。日本美術学校卒。雑誌《少年倶楽部》に1931年から1941年まで擬人化した犬を主人公として連載した《のらくろ》シリーズが有名。ユーモアとペーソスゆたかに描かれた犬たちの軍隊生活は子ども漫画界を風靡(ふうび)した。ほかに《凸凹黒兵衛》(1933年)など。弟子に長谷川町子滝田ゆうがいる。
→関連項目杉浦茂漫画

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

田河水泡 たがわ-すいほう

1899-1989 昭和時代の漫画家。
明治32年2月10日生まれ。高見沢潤子の夫。はじめ前衛画家をこころざすが,昭和6年から雑誌「少年倶楽部(クラブ)」に漫画「のらくろ」を連載し,人気漫画家となる。門下生に長谷川町子,滝田ゆうらがいる。平成元年12月12日死去。90歳。東京出身。日本美術学校卒。本名は高見沢仲太郎。作品はほかに「蛸の八ちゃん」「凸凹黒兵衛」など。
【格言など】良い人生だった。ぼくのような幸せ者はいないよ(晩年のくちぐせ)

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江戸・東京人物辞典の解説

田河水泡

1899〜1989(明治32年〜平成元年)【漫画家】前衛芸術から漫画へ転身。 「のらくろ」は国民的漫画キャラクター第一号に。昭和期の漫画家。東京都深川生まれ。日本美術学校図案科卒業。在学中前衛美術団体マヴォに参加。その後、新作落語作家などを経て漫画家になる。1931年(昭和6)発表の「のらくろ二等兵」で一躍人気作家となった。のらくろシリーズは1980年まで続き、軍隊で大尉まで昇進した。戦後編はあまり知られていないが、引揚げてノラ犬に戻り、様々な曲折の末、お銀ちゃんと結婚、最後は喫茶店のマスターとなった。他に代表作「鮹の八ちゃん」

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世界大百科事典 第2版の解説

たがわすいほう【田河水泡】

1899‐1989(明治32‐平成1)
漫画家。本名高見沢仲太郎。東京に生まれ,日本美術学校を卒業,前衛画家を志すが挫折し,一時は生活のために落語の台本を書いていた。1931年から講談社の《少年俱楽部》に《のらくろ》を連載。擬人化した犬を主人公として,犬の軍隊での出世物語を描いたもので,軍国の世相を反映しながらも風刺の笑いがこめられ人気を博し,単行本も大ベストセラーとなった。また《蛸(たこ)の八ちゃん》(1931,《婦人子供報知》),《凸凹黒兵衛》(1933,《婦人俱楽部》)も人気を得た。

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大辞林 第三版の解説

たがわすいほう【田河水泡】

1899~1989) 漫画家。東京生まれ。「少年俱楽部」に漫画「のらくろ」を連載して人気漫画家となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

田河水泡
たがわすいほう
(1899―1989)

画家、漫画家。本名は高見沢仲太郎。筆名は、本姓をもじって田河水泡(たかみさわ)と書き、のちに田河水泡(たがわすいほう)と読むことにした。東京の本所に生まれ、私立日本美術学校を卒業。前衛美術運動MAVOに参加したが、生計のため『少年倶楽部(くらぶ)』に子供向きの物語漫画『のらくろ』を連載、これが人気を得て漫画家となった。のら犬の黒吉が軍隊に入り、失敗を重ねながらも進級していくという筋の『のらくろ』(全10冊)は、日本における物語漫画の確立作とされている。そのほか『蛸(たこ)の八ちゃん』『凸凹(でこぼこ)黒兵衛』などの作品もある。[上笙一郎]
『『のらくろ漫画全集』全10巻(1969・講談社) ▽『続のらくろ漫画全集』全五巻(1979~81・講談社) ▽田河水泡著『のらくろ自叙伝』(1976・光人社) ▽高見沢潤子著『のらくろひとりぼっち』(1983・光人社)』

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世界大百科事典内の田河水泡の言及

【長谷川町子】より

…福岡県に生まれる。1934年田河水泡に師事し,翌年から《少女俱楽部》に漫画を寄稿,40年から3年半にわたって同誌に〈仲良し手帖〉を連載した。第2次大戦後の46年5月から《夕刊フクニチ》に代表作《サザエさん》を連載,49年12月から《朝日新聞》に移り,74年まで連載した。…

※「田河水泡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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