尖頭アーチ(読み)せんとうアーチ(英語表記)pointed arch

精選版 日本国語大辞典 「尖頭アーチ」の意味・読み・例文・類語

せんとう‐アーチ【尖頭アーチ】

〘名〙 (アーチはarch) ふたつ円弧を組み合わせて造る、頂部のとがったアーチ。ゴシック建築の重要な特徴一つ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尖頭アーチ」の意味・わかりやすい解説

尖頭アーチ
せんとうアーチ
pointed arch

建築用語。ロマネスク建築半円形アーチに代ってゴシック建築において採用されるようになったスパン (梁間) の半分よりも長い半径をもつ2つの円弧でつくられる先端のとがったアーチ。正方形平面の上にリブ・ボールトをかける場合,四辺の上のアーチ形を半円形にすると,そのアーチの頂点の高さは対角線上の半円形アーチの頂点よりも低くなり,重力がこの四辺上のアーチにかかってくる。これを是正するため四辺上のアーチの頂点を高くすることから尖頭形のアーチが生れた。この尖頭アーチは一つの様式としてボールト部にかぎらず開口部にも採用されるようになり,ゴシック建築を最も特徴づける重要な要素となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の尖頭アーチの言及

【アーチ】より

…ローマ人は,エトルリア人から半円アーチ工法を学び,石造,煉瓦造,コンクリート造によるアーチやボールトをほとんど完ぺきといってよい水準にまで発展させ,これがまぐさ(リンテル)式構造とともに中世以降の西欧建築構法の基本となった。ロマネスク建築では主として半円アーチ,ゴシック建築では尖頭アーチが用いられ,ルネサンス建築では再びローマ風の半円アーチが用いられた。 最も通例のアーチは半円アーチで(図1),半円環を奇数個のくさび形の迫石(せりいし)(ブソアー)に分割してつくり,半円形の木造型枠の上に両端から並べてゆき,最後に頂部の要石(かなめいし)(キーストーン)をはめてから型枠をはずす。…

【ゴシック美術】より


[教会堂建築の新様式]
 ゴシック美術の様式はまず建築,ことに教会堂建築によって実現されたが,これと協和して形成された彫刻,絵画,工芸に対しても,総括的にこの様式の名称が適用される。ゴシック教会堂建築の特徴としては,一般に構造技術上の3要素,すなわちリブ・ボールトribbed vault,尖頭アーチpointed arch,フライイング・バットレスflying buttress(飛控え)があげられ,その組織的適用によって,仰高性のいちじるしい建築様式が成立しているとされる(ゴシック建築のうちには,木造天井を架して,しかも仰高性をあらわしている例もあるが,様式形成の主導力となったのは石造ボールト建築である)。この3要素はすでにロマネスク建築にもあった。…

※「尖頭アーチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android