日本歴史地名大系 「尾窪墳墓群」の解説
尾窪墳墓群
おくぼふんぼぐん
尾窪に所在した中世墳墓群。九州自動車道新設工事により消滅。着工に先立ち昭和四七年(一九七二)に発掘調査が実施された。墓所は中央部に高さ一二二センチ、一辺が五メートル前後の方形をなす墳丘を設け、シンボルとする。この中央部墳丘は裾部を周溝で取囲まれる。墳丘頂上部には五輪塔数基が建立されていたらしく、周溝内に各輪の落込みがみられる。墳丘内に埋葬施設がみられないため「詣り墓」としての機能をもった遺構であろう。この詣り墓を中心に八三基の円・方形の大小の土盛りが存在するが、これらはすべて「埋め墓」である。埋葬法は、火葬墓二基を除いて他はすべて土葬墓である。葬位には坐臥屈葬・側臥屈葬などがみられ、主流をなすのは北頭位の右側臥屈葬である。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報