居流(読み)いながれる

精選版 日本国語大辞典 「居流」の意味・読み・例文・類語

い‐なが・れる ゐ‥【居流】

〘自ラ下一〙 ゐなが・る 〘自ラ下二〙
① 固まって流れる。ひとまとまりとなって流れる。
出雲風土記(733)秋鹿「其の沙(すなご)或は風の随に雪と零り、或は居流(ゐながれ)て蟻と散る」
② 多くの人々がすわって列になる。順序よく、序列に従って並んですわる。列座する。居並ぶ。
※屋代本平家(13C前)八「内の侍には一門源氏を始て、大名小名居流れたり」
③ よそから移ってきてそのまま住みつく。居続ける。
歌舞伎綴合於伝仮名書(高橋お伝)(1879)四幕「それからこっちに居流(ヰナガ)れて、亭主病死も聞き捨てに、たうとうおれと腐れ縁
④ 舞台裏で働く大道具小道具などの人々が、短時間の場面のため、幕があいても各自の部屋へ引き上げないで、舞台裏で待機の姿勢をとる。

い‐ながれ ゐ‥【居流】

〘名〙 期限が過ぎても、そのまま奉公を続けること。居成(いなり)
※歌舞伎・松栄千代田神徳徳川家康)(1878)七幕「置いて下されば、直(すぐ)に居流(ヰナガ)れでようござんす」

い‐なが・す ゐ‥【居流】

〘自サ四〙 連日、同じ場所に泊り続けて遊興する。
人情本・英対暖語(1838)初「それぢゃア今日は、居続(ヰナガ)していらしって下さいましヨ」

い‐ながし ゐ‥【居流】

〘名〙 連日、同一の場所で遊興を続けること。居続け。
洒落本・大通契語(1800)「どなた様もどうで御座ります、今夜はすぐにいながしは」

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