改訂新版 世界大百科事典 「山林会」の意味・わかりやすい解説
山林会 (さんりんかい)
大日本山林会の設立(1882)を大きな契機として全国各地に組織された民間の林業指導機関。大日本山林会は,1879年に山林に関する学術知識を交換論究するために設立された山林学共会を先駆とし,82年に山林共進会の開催を機に設立されたが,その目的を〈山林を蕃殖,改良するには気候,土地,樹芸,伐木運搬などの良否をよく知らねばならぬ。……林学の理を知り,相互通信によりそれを普及し,山林を改良するのが経国の要であり,富国の道である〉としていた。その活動は毎月1回の研究会,毎年1回の全国大会の開催と月刊の会報の発行であった。地方では主として府県単位に各地に山林会が設立され,研究会などの活動を行った。大日本山林会は農商務省山林局の所掌下にあり,東京山林学校(1882設立。東京大学農学部林学科の前身)とならんで明治林政の発展を担った。山林乱伐をとめ,植林をすすめ,地方山林会を指導し,新しい林学知識を普及啓蒙した功績は大きかった。
執筆者:筒井 迪夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報