工業気象(読み)こうぎょうきしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「工業気象」の意味・わかりやすい解説

工業気象
こうぎょうきしょう

工業の生産と気象との関係を対象とする分野をいう。工業生産には、程度の差はあっても、あらゆる工程に気象が影響する。近来工程が機械化され、しかも精密化されるにしたがい、温度湿度、空気の清浄さなど、ますます厳密な気象条件が要求されるようになってきている。そのために工場の気象条件を人為的に調節できる工場が多くなり、昔ほど屋外の気象条件を考慮することは少なくなった。また生産に従事する人の労働条件も、ロボット代用や、暖冷房の調節により比較的よい気象条件に置かれるようになった。しかし屋外労働の場合は、いまでも大きな問題である。工業原料の生産や輸送には、積雪や台風など気象による障害は大きく、従来のとおり工場立地上の要因である。また工業の発達に伴う大気汚染は、人間の生活環境の悪化や世界的な気候変動の原因の一つと考えられており、当面するもっとも大きな問題の一つである。

[安藤隆夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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