差し出づ(読み)サシイズ

デジタル大辞泉 「差し出づ」の意味・読み・例文・類語

さし‐い・ず〔‐いづ〕【差し出づ/射し出づ】

[動ダ下二]
《「さし」は光が射す意》さしはじめる。輝き出る。
「日も―・でぬべし」〈・三六〉

㋐はっきり姿を現す。ぬきんでる。
「さる滝の上に、わらふだの大きさして、―・でたる石あり」〈伊勢・八七〉
㋑外に出る。人前に出る。
すだれの下より…重なりたる袖ぞ―・でためる」〈かげろふ・下〉
㋒出仕する。
故院の御かたみにはゆかしく思ひ参らすれど、―・でむことなほあるべきことならず」〈讃岐典侍日記・下〉
㋓出過ぎたことをする。でしゃばる。
「はしたなきもの、こと人を呼ぶに我ぞとて―・でたる」〈・一二七〉
外に出す。人前に出す。
「大きなる池の中に―・でたれば」〈胡蝶

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精選版 日本国語大辞典 「差し出づ」の意味・読み・例文・類語

さし‐い・ず‥いづ【差出・射出】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ダ下二段活用 〙
    1. [ 一 ] ( 「さし」は光が照射する意 ) 輝き出る。照り出す。
      1. [初出の実例]「月のいとおもしろくさしいでたりけるをみて」(出典:古今和歌集(905‐914)羇旅・四〇六・左注)
    2. [ 二 ] ( 「さし」は接頭語 )
      1. あらわれる。外へ出る。外に姿を現わす。人前に出る。また、出仕する。
        1. [初出の実例]「さる滝のかみに、わらうだの大きさして、さしいでたる石あり」(出典:伊勢物語(10C前)八七)
        2. 「河の中より翁差出でて、此の鍋(かなへ)を乞ふ」(出典今昔物語集(1120頃か)六)
      2. 分を越えて進み出る。出すぎたことをする。でしゃばる。
        1. [初出の実例]「物語などするに、さし出て我ひとりさいまんくるる者」(出典:能因本枕(10C終)二五)
        2. 「月に恥ぢてさし出られぬ心かな眺むか袖に影の宿れば」(出典:山家集(12C後)下)
      3. 生まれ出る。生まれる。
        1. [初出の実例]「かう、やむごとなき御腹に、おなじ光にて、さしいで給へれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ダ下二段活用 〙さしだす(差出)
    1. [初出の実例]「上達部(かんだちめ)、手ごとに菓子(くだもの)などさしいでつつ」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)

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