差額地代(読み)さがくちだい(その他表記)Differentialrente; differential rent

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差額地代」の意味・わかりやすい解説

差額地代
さがくちだい
Differentialrente; differential rent

D.リカードによって提唱され,K.マルクスによって確立された資本制地代の基本的形態の一つ。マルクスによれば差額地代には2つの形態があり,第1形態の差額地代は土地の豊度,位置の差に基づいて発生する。すなわち農産物の市場価格は,資本みずからが生産することのできない土地その他の自然的条件の制約のため,最劣等地の農産物の価格によって支配される。このため最劣等地よりも優良な土地の農産物の生産価格は当然市場価格を下回ることとなり,ここに超過利潤の転化形態としての差額地代が生み出されることとなる。これに対して差額地代の第2形態は,生産価格,利潤率,豊度の差などになんらの変化のない場合でも,資本の追加投資がなされていくに従って増加していく地代である。ただこの場合もあくまで第1形態が基礎であり,第1形態の変形にすぎない。つまり「第1形態がいわば横に展開するところを (第2形態は) 縦に展開するもの」 (宇野弘蔵) ということができよう。 (→絶対地代 )

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百科事典マイペディア 「差額地代」の意味・わかりやすい解説

差額地代【さがくちだい】

相対的にすぐれた自然諸条件を生産条件として営まれる農業から生じる超過利潤が,地代に転化されて土地所有者に支払われる場合,これを差額地代という。リカードが創唱した。農業では土地が独占されているため最劣等地にも絶対地代が生じるが,豊度と位置の有利な土地には等量の資本投下によっても絶対地代以上の差額地代(第1形態)が生じ,また同じ土地でも資本の追加投資による超過利潤である差額地代(第2形態)が生じる。→地代

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改訂新版 世界大百科事典 「差額地代」の意味・わかりやすい解説

差額地代 (さがくちだい)

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世界大百科事典(旧版)内の差額地代の言及

【資本論】より

…この超過利潤が,借地農業者の手から地主の手に移されて地代化される。これが差額地代である。土地の肥沃度または位置の差に基づくものを〈差額地代の第I形態〉,追加投資分の生産性の差に基づくものを〈第II形態〉とした。…

【地代】より

…たとえば,ある地域に通勤鉄道が敷かれれば,その地域の土地の限界生産性と限界効用はともに高まるから,その地域の土地の地代は他の地域の土地の地代に比較して上昇する。このように,さまざまな土地の地代の差,すなわち,差額地代はそれらの土地の限界生産性や限界効用の差を反映している。それに対して,D.リカードの差額地代説によれば,優等地と劣等地の価値生産性の差額が地代になる。…

※「差額地代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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