幕府海軍(読み)ばくふかいぐん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幕府海軍」の意味・わかりやすい解説

幕府海軍
ばくふかいぐん

江戸幕府が創設した近代海軍。嘉永6 (1853) 年ペリー第1回来航の直後,老中阿部正弘の提議により洋式海軍の建設を決定。オランダの全面的協力のもとに,安政2 (55) 年長崎に海軍伝習所を創設したのが始り。同4年には江戸築地に,また元治1 (64) 年には神戸に,海軍操練所が設けられた。海軍奉行勝海舟をはじめ,坂本龍馬,榎本武揚,五代友厚ら,佐幕派,討幕派を問わず有為な人材を輩出し,明治期日本海軍の基礎となった。オランダ政府から寄贈された幕府最初の洋式軍艦『観光丸』,渡米使節を乗せて行った『咸臨丸』,最初の国産艦『千代田形』など,最盛時には 45隻を保有。江戸城明渡しの際に,うち8隻を軍艦奉行榎本武揚らが奪い,箱館戦争 (→五稜郭の戦い ) で官軍と戦って崩壊した (→箱館湾海戦 ) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語 五稜郭

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android