朝日日本歴史人物事典 「平内吉政」の解説
平内吉政
桃山・江戸初期の大工。平内家は紀伊国根来(和歌山県)の出身で,塀内とも記す。為吉の子。吉政の作品は,慶長11(1606)年造立の和歌山天満神社本殿が現存。慶長13~15年に,子の正信と共に体系的な最初の木割書で,門,社,塔,堂,殿屋の5巻からなる『匠明』を著す。同書によると,吉政は,豊臣秀吉が命じた京都方広寺大仏殿造営で,和州棟梁10人と共に紀州棟梁10人のひとりとして参加し,慶長4年遷宮の豊国神社の作事にも参画したと記されている。当時,紀州と和州の大工技術が優れていたこと,平内家は紀州を代表する大工家であったことが窺える。<参考文献>伊藤要太郎『匠明五巻考』,伊藤要太郎校訂『匠明』
(谷直樹)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報