庇髪(読み)ヒサシガミ

デジタル大辞泉 「庇髪」の意味・読み・例文・類語

ひさし‐がみ【×庇髪】

束髪の一。入れ毛を使って前髪びんとをふくらませ、庇のように前方へ突き出して結う髪形。明治30年代ごろ、女優川上貞奴かわかみさだやっこが始めてから、大正初めにかけて流行。また、女学生が多く用いたことから、女学生の異称ともなった。

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精選版 日本国語大辞典 「庇髪」の意味・読み・例文・類語

ひさし‐がみ【庇髪・廂髪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 庇のように突き出している髪の意 ) 束髪の一つ。前髪と鬢(びん)とを特に前方に突き出すように結うもの。また、その髪に結った女。明治三〇年代後半、女優川上貞奴が西洋風に結ったのが始まりで、大正時代にかけて女学生間に流行した。ひさし。
    1. 庇髪<b>①</b>〈風俗画報〉
      庇髪風俗画報
    2. [初出の実例]「頭髪は少し癖のある毛を庇髪(ヒサシガミ)にして居るといふ」(出典:付焼刃(1905)〈幸田露伴〉一)
  3. ( の髪形を好んだところから ) 明治の末から大正初期にかけて、女学生をさしていう語。

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世界大百科事典(旧版)内の庇髪の言及

【髪形】より

…このイギリス巻やマーガレットによって,初めて〈髪を編む〉という技法が日本に紹介され,鬢,髷,髱で構成された従来の髪形が変化していくことになった。明治期を代表する髪形には,花月巻,揚巻(あげまき),夜会巻,庇髪(ひさしがみ),S巻や,日露戦争の激戦地にちなむ庇髪の一種の二百三高地髷がある。大正期にかけて流行する七・三女優髷は,これまでの左右均整形を脱した新しい行き方を示し,アイロン・ウェーブ応用の,耳隠しスタイルに展開していった。…

※「庇髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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