廃少菩提寺石多宝塔および石仏(読み)はいしょうぼだいじせきたほうとうおよびせきぶつ

国指定史跡ガイド の解説

はいしょうぼだいじせきたほうとうおよびせきぶつ【廃少菩提寺石多宝塔および石仏】


滋賀県湖南市菩提寺にある石造物。少菩提寺(しょうぼだいじ)は大和の興福寺の別院として、731年(天平3)に良弁(ろうべん)によって創建された大寺院で、聖武天皇以後、歴代天皇の勅願所となった。明応年間(1492~1501年)に模写された菩提寺の古絵図によると、円満山大般若台院と号して七堂伽藍(がらん)がそびえ、37坊を数える堂坊が存在していたことがわかる。そして、廃寺の寺域にある石造物が、1926年(大正15)に国の史跡の指定を受け、多宝塔は1961年(昭和36)に重要文化財に指定された。石造多宝塔は銘文のある貴重なもので、「仁治二年(1241)辛丑(かのとうし)七日」「願主僧良全・施主日置氏女」と刻まれ、塔高は448cmで鎌倉時代の作である。また、3体の地蔵像が1体ずつ別の石に刻まれ、中尊は像高158cmで手には短い錫杖(しゃくじょう)を持ち、舟形光背の中に高肉彫りで表され、頭上に笠石をのせ、鎌倉初期の作である。そのほか、閻魔(えんま)像は将棋駒形の石に閻魔王を中心に5体の仏像が刻まれ、石の高さは160cmである。1928年(昭和3)に追加指定を受けている。JR草津線甲西(こうせい)駅から車で約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報