建国神廟(読み)けんこくしんびょう

改訂新版 世界大百科事典 「建国神廟」の意味・わかりやすい解説

建国神廟 (けんこくしんびょう)

満州国建国の元神として天照大神をまつるために創建された神社。1940年,満州国皇帝溥儀(ふぎ)は,日本の紀元2600年慶祝のために来日し,伊勢神宮に参拝して,5月15日に〈日満一神一崇〉を表明し,満州国建国以来の事業はすべて天照大神の加護と,天皇の援助によらないものはないという建国神廟創建の詔書(〈国本奠定詔書〉)を発した。皇帝の帰国後,神廟創建はただちに実行に移され,新京(現在の長春)の帝宮内東隅の高地を神域と定めて,7月15日に鎮座祭が行われた。社殿は白木銅ぶきの権現造,白木の大鳥居が予定されたが,仮神殿での儀式では,皇帝が日本文の告文を読み,張景恵国務総理,梅津美治郎関東軍司令官以下が参列した。建国神廟の祭祀のために,満州国には日本古代の神祇官に似た祭祀府が置かれた。祭祀府は皇帝に直属し,国務院,参議府と並ぶ大官庁で,その総裁には元関東軍参謀長の橋本虎之助が就任した。3月1日の建国祭,7月15日の元神祭を大祭とした。建国神廟は,国家神道下の創建神社の中でも特異な性格を持ち,満州国のあり方を象徴的に示すものといえよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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