詔書(読み)ショウショ

デジタル大辞泉 「詔書」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しょ〔セウ‐〕【詔書】

天皇が発する公文書日本国憲法下では、国会の召集衆議院の解散、総選挙の施行の公示など、天皇の国事行為の形式として用いられている。
律令制で、天皇のみことのりを記した文書。改元などの臨時の大事の際に発せられた。→宣命せんみょう勅旨勅書

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精選版 日本国語大辞典 「詔書」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しょセウ‥【詔書】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天子の詔(みことのり)を記した文書。令制では、和文体漢文体のものがあり、和文体のものは特に宣命とよばれる。
    1. [初出の実例]「詔書式〈謂。詔書勅旨。同是綸言〈略〉〉」(出典:令義解(718)公式)
    2. 「勅使安楽寺に下りて、詔書(セウショ)を読み上げける時」(出典太平記(14C後)一二)
    3. [その他の文献]〔史記‐孝文本紀〕
  3. 天皇の意思を明示した公文書で、一般に公示されるもの。天皇の国事行為のうち、国会の召集、衆議院の解散、国会議員の総選挙の施行の公示など。
    1. [初出の実例]「皇室の大事を宣誥し及大権の施行に関する勅旨を宣誥するは別段の形式に依るものを除くの外詔書を以てす」(出典:公式令(明治四〇年)(1907)一条)

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百科事典マイペディア 「詔書」の意味・わかりやすい解説

詔書【しょうしょ】

(1)律令制下において天皇の命を伝える文書で,臨時の大事に関して発せられたもの。中務(なかつかさ)省が作成し,天皇は日付のうちの一部に加筆するならわしであった。古くは和文体で書かれ宣命(せんみょう)と呼ばれ,平安時代以後は漢文体で書かれた。(2)国家機関としての天皇の意思を国民に公示する必要がある場合に発せられる公文書。天皇の国事行為のうち国会の召集,衆議院の解散,国会議員の総選挙の施行の公示は詔書の形式で行われる。詔書には内閣の助言と承認が必要で,天皇が署名し,御璽(ぎょじ)が押されるほか内閣総理大臣が副署する。明治憲法時代の公式令(1907年)にその定めがあり,1947年同令が廃止された後も慣行として残っている。→勅語勅書
→関連項目官報玉音放送古文書詔勅戊申詔書

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改訂新版 世界大百科事典 「詔書」の意味・わかりやすい解説

詔書 (しょうしょ)

天皇が発する公文書で,国民に公示されるもの。大日本帝国憲法時代の〈国葬を賜ふ勅書〉のように,特定の人に対するものであって公示されない勅書と並ぶ詔勅の一種。帝国憲法の下では,立太子の詔書のように皇室典範皇室令に基づき発せられる〈皇室の大事を宣誥(せんこう)〉する詔書(宮務詔書)と,宣戦の詔書のように憲法・法律などに基づき発せられる〈大権の施行に関する勅旨を宣誥〉する詔書(政務詔書)の2種があった(公式令1条)。公式令がその形式を定め,天皇の署名,捺印の後,宮務については宮内大臣・内閣総理大臣が,政務については内閣総理大臣・国務各大臣が副署した。日本国憲法の下では,大日本帝国憲法下での皇室典範などの宮務法は廃されたので宮務詔書は存在せず,国会召集の詔書や衆議院解散の詔書のように,天皇の国事に関する行為に関連して発せられるものに限られている。現在,公式令のようなものは存在しないが,詔書には内閣の助言と承認が必要であり,天皇の署名(御名),捺印(御璽)の後に内閣総理大臣の副署がなされている。
詔勅
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「詔書」の意味・わかりやすい解説

詔書
しょうしょ

天皇が発給する最高の文書。古代の律令(りつりょう)体制のもとで公式令(くしきりょう)にその規定がみえるが、近代では1907年(明治40)2月制定の公式令によって書式、発布手続が規定された。それによれば、詔書は皇室の大事を宣布し、践祚(せんそ)、即位、宣戦、講和、帝国議会召集、衆議院解散など天皇大権の施行に関する勅旨を国民に宣布するものとされている。形式は、天皇が親署し御璽(ぎょじ)を捺印(なついん)、皇室関係のものは宮内(くない)大臣が年月日を記入し、総理大臣とともに副署する。大権施行に関するものは総理大臣が年月日を記入し、他の国務大臣とともに副署する。第二次世界大戦後の日本国憲法のもとでは全面的に廃止され、ただ国会召集、衆議院解散など、天皇の国事行為の範囲に限って詔書の形式が用いられている。

[時野谷勝]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「詔書」の解説

詔書
しょうしょ

律令制下,天皇の命令を下達する公文書。唐の制書式を継受して公式令(くしきりょう)に勅旨とともに定められたが,詔書は臨時の大事に用いられる。宣命体(せんみょうたい)で記され,本来群臣に口頭で宣したと考えられるが,漢文体のものもある。養老令によれば発令の手続きは,天皇の命をうけ内記が本文を起草,天皇が日を書き入れる。これを中務(なかつかさ)省にとどめて案とし,写しに中務卿以下が署名し,内印を捺して太政官に伝え,大臣以下が署名し,大納言が天皇に覆奏して施行許可を求める。天皇は最後に「可」の字を書き加える。内官にはこの写しに施行を命じる太政官符を添え,外官には詔書の内容を引用した太政官符を作成して伝達する。天皇の意志が詔書のかたちで施行されるには多くの国家機関が介在した。

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普及版 字通 「詔書」の読み・字形・画数・意味

【詔書】しよう(せう)しよ

詔勅。〔独断、上〕の天子の正號を皇と曰ふ。~其の命令は、一に曰く策書、二に曰く制書、三に曰く詔書、四に曰く戒書。

字通「詔」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の詔書の言及

【公式様文書】より

…それを大別すると,(1)(a)天皇の仰せを下達し,(b)または天皇に奏上する文書,(2)(a)皇太子,三后(太皇太后,皇太后,皇后)の仰せを下達し,または(b)上申する文書,(3)(a)官庁間での命令下達,(b)上申,(c)互通の文書,(4)個人から官庁へ上申する文書,(5)特殊文書,に分けられる。(1)(a)は詔書,勅旨両式と飛駅下式で,詔書は臨時の大事,勅旨は尋常の小事,飛駅下式は地方有事の際に用いる。(b)は太政官から奏上するもので,事の大・中・小によって論奏・奏事・便奏の3式に分かれている。…

【古文書】より

…(A)公式様文書 養老令の公式令にその書式が規定された文書で,中国の直接的な影響を受けたものである。その形式は21にのぼるが,代表的なものを挙げると,まず(a)詔書(しようしよ),(b)勅旨(ちよくし)がある。ともに天皇の命を伝える文書であるが,詔書は臨時の大事に,勅旨は尋常の小事に用いられた。…

【詔】より

…やがて令の制定により公文書制度が整えられるに従い,詔も文書として記されるようになり,天皇のことばをそのまま和文で表現する詔すなわち宣命と,中国風の漢文の詔の両様式が成立した。この詔書の書式および作成・施行の手続を定めたのが,大宝・養老公式令の詔書式である。詔書式は詔書の冒頭の文言として〈明神御宇日本天皇詔旨〉以下5形式を定めているが,これらの文言は実例では宣命体の詔に見られるものであるから,書式例は宣命体のものを掲げたことが知られる。…

【詔勅】より

…広くは,天皇が文書で行うすべての行為を意味し,大日本帝国憲法時代には帝国憲法,皇室典範,皇室令,法律,勅令,条約,予算,軍令,勅書,詔書などの形式があった。狭くは,詔書と勅書を意味する。…

※「詔書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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