弁論能力(読み)べんろんのうりょく(英語表記)Postulationsfähigkeit

精選版 日本国語大辞典 「弁論能力」の意味・読み・例文・類語

べんろん‐のうりょく【弁論能力】

〘名〙 裁判所において訴訟行為をするために必要な資格。刑事訴訟法上は、控訴審では原則として弁護人だけがこれを有する。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弁論能力」の意味・わかりやすい解説

弁論能力
べんろんのうりょく
Postulationsfähigkeit

(1) 民事訴訟法上,裁判所で現実に訴訟行為,特に弁論をなすのに必要な資格。実際の訴訟追行者を限定することによって,訴訟手続の円滑にして迅速な進行をはかろうとするものである。弁護士強制 (主義) の場合には弁護士でないと弁論能力を有しない。日本では弁護士強制 (主義) をとっておらず,本人訴訟を認めているから,訴訟能力を有する者は弁論能力を有するが,弁護士代理や陳述禁止の裁判は,弁論能力の制限にほかならない。 (2) 刑事訴訟法上,公判期日において弁論をなすことができる能力。訴訟能力のある被告人は弁論能力を有するが,控訴審および上告審では弁護人 (弁護士) のみが弁論能力を有し,被告人はこれを有しない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の弁論能力の言及

【弁論】より

…なお,刑事訴訟での慣用語として,証拠調べが終わった後の意見陳述のうち,弁護人がするもの(刑事訴訟法293条2項)をとくに弁論と呼ぶこともある。 狭義の弁論を現実になしうる資格を弁論能力,または演述能力という。訴訟を円滑迅速に行うための規律であり,刑事訴訟の控訴審・上告審では弁護士だけが弁論能力を持ち,被告人本人には弁論能力がない(刑事訴訟法388条,414条)。…

※「弁論能力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android