訴訟行為(読み)そしょうこうい(英語表記)Prozesshandlung

  • そしょうこうい ‥カウヰ
  • そしょうこうい〔カウヰ〕
  • ドイツ
  • 訴訟行為 Prozesshandlung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

(1) 民事訴訟において,その要件および効果訴訟法規によって規制される裁判所および当事者その他の関係人の行為。私法上の法律行為と概念上区別される。裁判所の訴訟行為には,裁判と裁判以外の行為がある。後者には,弁論聴取証拠調べの実施,送達などが含まれる。当事者の訴訟行為には,裁判所に一定の行為を要求する行為 (→訴え , 申立て ) ,一定の事実や法律上の事項を裁判所に報告する行為 (陳述など) ,訴訟法が当事者の効果意思に直接に法律効果を与える行為 (訴えの取下げ,裁判上の和解など) などがある。

(2) 刑事訴訟上も同意義である。裁判所の行為,検察官の行為,被告人弁護人の行為という主体による分け方のほか,学説上種々の分類がなされている。

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世界大百科事典 第2版の解説


[民事訴訟]
 民事訴訟において,訴訟の開始,進行,終了のため訴訟主体(裁判所その他の裁判機関および訴訟当事者)の種々の行為が行われる。裁判所(裁判機関)の訴訟行為と当事者の訴訟行為は,著しくその内容・性質を異にする。前者は裁判(判決,決定,命令)と事実行為(弁論の聴取,証拠調べ,送達)を含む国家行為であって,当事者の訴訟行為とは異なる法的規制を受ける。訴訟行為論は,民法上の法律行為論との対比として発展してきたので,当事者の訴訟行為が検討の対象とされており,通常,訴訟行為という場合はこれを指す(以下においてもこの意味で用いる)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民事訴訟では、訴訟法上の効果を直接生じさせるために行われる訴訟関係者(裁判所および訴訟の主体など)の意思行為(意思通知、観念通知を含む)をいう。訴訟法上の効果を生じさせるものであれば、訴訟以前に行われるもの(管轄の合意、訴訟委任など)であろうと、訴訟手続外で行われるもの(選定当事者の選定など)であろうと訴訟行為である。訴訟行為は、その主体によって、裁判所の訴訟行為(裁判と事実行為――証拠調べなど)と当事者の訴訟行為とに分類されるが、当事者の訴訟行為が民事訴訟では重要である。この当事者の訴訟行為は、さらに、行為の性質により、意思通知、観念通知および意思表示に分類され、また、当事者の訴訟行為だけで効果が生じるのか、裁判所の裁判を待って効果が生じるのかにより、与効的訴訟行為と取効的訴訟行為とに分類される。しかし、重要なのは、行為の内容による分類で、申立て(裁判所に対し裁判、証拠調べなど一定の行為を求める行為――訴え、証拠申請など。当事者に申立権が認められている場合には、裁判所はかならず応答しなければならない)、主張(申立てを理由づける資料を提出する行為で、権利の存否の主張たる法律上の主張、事実の存否の主張たる事実上の主張がそれである)、訴訟法律行為(訴え・上訴の取下げ、管轄の合意など訴訟法上の法律効果の発生を目的とする意思表示)がそれである。訴訟行為を有効に行うことができる一般的資格を訴訟能力という。訴訟行為には条件・期限を付すことができない(例外として予備的申立て)。さらに、手続の安定のため表示主義がとられ、錯誤、詐欺、虚偽表示等の瑕疵(かし)により影響を受けないとされるが、管轄の合意、代理権の授与、訴訟上の和解、請求の放棄・認諾などの場合には無効・取消しを認めるのが一般的である。相殺権、取消権、解除権などの形成権が訴訟上行使される場合に、訴訟行為か、私法行為か争いがある(訴えの却下・取下げ、攻撃防御方法の却下・撤回の場合に、そのいずれかにより差異が生じる)。
 なお、刑事訴訟においても、民事訴訟におけると同義であるが、事実行為と意思表示的行為、また、実体形成行為と手続形成行為とに分類される。[本間義信]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 訴訟法上の効果を発生させる訴訟関係者の意思行為の総称。

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