引方(読み)ひきかた

精選版 日本国語大辞典 「引方」の意味・読み・例文・類語

ひき‐かた【引方】

〘名〙
① 引きあげる方法。特に、合戦軍勢を引きあげるてだて。また、引きあげていく側やその人々。
太平記(14C後)一六「船坂の敵前後を裹れて、定めて引(ひキ)方を失ひ候はんか」
無心をいうこと。
洒落本傾城買二筋道(1798)夏の床「帰りし跡にて傍輩の評もよからず、引かたと心づき」
③ 取引市場で、取引所における立会いの午前の部(前場)の第三節および、午後の部(後場)の第二節の称。

ひく【引】 方(かた)

引く方面。縁に引かれる方面。また、心にかけている人。贔屓(ひいき)する人。
源氏(1001‐14頃)帚木「はかなし、口惜しと、かつ見つつも、ただ、我が心につき、宿世のひくかた侍るめれば」

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