無心(読み)むしん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

無心
むしん

「心のないこと」で,「無心に遊ぶ」という場合には,無邪気なことを意味し,「無心する」という場合には,遠慮せず物品金銭をねだることを意味する。仏教の術語としては,妄念を離れた「心そのもの」を意味し,そのような精神状態に入る禅定を無心三昧という。また無念無想の仏道修行者を無心道人という。

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デジタル大辞泉の解説

む‐しん【無心】

[名・形動]
無邪気であること。また、そのさま。「無心の勝利」「無心な子供」
意志・感情などの働きがないこと。「無心の草木」
仏語。
㋐心の働きが休止していること。
㋑一切の妄念を離れた心。⇔有心(うしん)
和歌・連歌で、表現などのこっけい・卑俗をねらいとするもの。
狂歌のこと。和歌を有心(うしん)というのに対していう。
思慮に欠けること。気が利かないこと。また、そのさま。
「さること言はむ人、かへりて―ならむかし」〈・一三三〉
情趣を解する心がないこと。また、そのさま。無風流。
「―なる女房などの歌よみかけたる」〈無名抄
思いやりのないこと。また、そのさま。無情。
「―に心づきなくてやみなむと」〈・帚木〉
[名](スル) 人に金品をねだること。「親に金を無心する」

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説

むしん【無心】

大阪の日本酒。数量限定の大吟醸酒。醪(もろみ)に圧力を加えずに、自然に垂れてきた酒を集めた「しずく酒」。原料米は山田錦。仕込み水は中硬水の自家井戸水。蔵元の「浪花酒造」は寛政年間(1789~1801)創業。所在地は阪南市尾崎町。

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世界大百科事典 第2版の解説

むしん【無心】

平安朝では〈有心(うしん)〉に対する語。〈有心のひと無心のひとえりいでなむ〉(《亭子院有心無心歌合》),〈さる無心の女房〉(《源氏物語》)など,思慮・分別・風流心のない意。中世に〈有心〉が文学表現の深さの美を表すようになるとともに,〈無心〉も,機知・滑稽を主とした文学的性質を表すものになる。すでに古く,〈無心所着。万葉十六巻に在之。たゞすゞろ事也。あしくよめばその姿ともなきものなり〉(《八雲御抄》)など,無意味な歌をさす言葉として用いられていたが,中世には〈後鳥羽院の御時,柿の本・栗の本として置かる。

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大辞林 第三版の解説

むしん【無心】

( 名 ) スル
無生物や植物のように、心をもたないこと。 「 -の草木」
遠慮なく人に金品をねだること。 「親に金を-する」 「 -をいつて五両もらつたのを/安愚楽鍋 魯文
〘仏〙 一切の妄念から解放された心。 ⇔ 有心うしん
和歌・連歌で、卑俗・滑稽さを求めたもの。 ⇔ 有心 「有心-歌合」
( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
心にわだかまりのないこと。雑念や欲心のないこと。また、そのさま。 「 -の勝利」 「 -に遊ぶ子供」 「 -の境地」 「 -な与吉は誘ひ出されるままにいつて畢しまつた/土
思慮・分別のないこと。無神経なこと。また、そのさま。 「中将のいと実法の人にて率て来ぬ、-なめりかし/源氏 常夏
情趣を解する心がないこと。風流心のないこと。また、そのさま。 「人の遊びせむ所には、草刈笛吹くばかりの心どもにて、いと-にて侍り/宇津保 国譲上

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精選版 日本国語大辞典の解説

む‐しん【無心】

〘名〙
[一] ある方面についての心の働きが欠けていること。心のいたらないこと。深く思う心のないこと。⇔有心
① (形動) 思慮分別のないこと。気のきかないこと。心のあさはかなこと。また、そのさま。転じて、無神経なさま。
※枕(10C終)一三三「まろなどに、さることいはむ人、かへりてむしんならんかし、などのたまふ」
② (形動) 情趣を解する心のないこと。また、そのさま。無風流なさま。無趣味なさま。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「正頼、子供あまた持て侍れど〈略〉人の遊びせむ所には、草刈笛吹くばかりの心どもにて、いとむしんにて侍り」
③ (形動)(「むじん」とも) 人情のないさま。他に対する思いやりのないさま。無情なさま。
※源氏(1001‐14頃)常夏「いとかけり来まほしげに思へるを、中将のいとしほふの人にて、ゐて来ぬ、むしむなめりかし」
④ (━する) 他人の迷惑をもかえりみないで頼むこと。遠慮なく金品などをねだること。また、そのような依頼、請求。
※庭訓往来(1394‐1428頃)「雖為無心所望。幔幕。同幕串」
※虎明本狂言・二人大名(室町末‐近世初)「そちにむしんをいひたひ事が有が」
[二] 心中に何もとらわれた心がないこと。
① 仏語。固定的なとらわれがなくなった状態。凡夫の一切の妄念がとりはらわれた心。虚心。無念無想。⇔有心
※正法眼蔵(1231‐53)三界唯心「心これ拈華破顔なり。有心あり、無心あり」
② 仏語。一切は空であると観ずる心。
※学道用心集(1234頃)「仏法以有心得。以無心得」
③ (形動) 心に何のわだかまりもなく素直であること。自然のままに虚心であるさま。
※文華秀麗集(818)下・舞蝶〈嵯峨天皇〉「本自不因絃管響、無心処処舞春風」
※仮名草子・身の鏡(1659)上「善の心もなく欲の心もなく無心(ムシン)なり」
[三] 無生物や植物、人間以外の動物などが、心をもたないこと。情意がないこと。また、そのさま。非情。
※凌雲集(814)於神泉苑侍宴賦落花篇、応製〈高丘第越〉「無心草木猶余恋、况復微臣酔恩危
[四] 文芸、特に韻文において、詩想、表現ともに滑稽、卑俗をねらいとするもの。⇔有心
① 優雅を旨とする普通の和歌に対して狂歌をいう。栗の本。
※井蛙抄(1362‐64頃)六「柿本はよのつねの歌、是を有心と名づく。栗本は狂歌、これを無心といふ」
② 和歌の伝統の上に立つ連歌を有心連歌と称するのに対して、通俗的なおかしさの強い連歌をいう。無心連歌。また、無心連歌の人々。
※八雲御抄(1242頃)一「昔無心が『すにさしてこそ』といふ連歌をしたりしに、有心の中より『あはびがひ』と付たりき」

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