張出(読み)はりだし

精選版 日本国語大辞典 「張出」の意味・読み・例文・類語

はり‐だし【張出】

〘名〙
① 外へ出っぱらせること。また、そのもの。特に、建築ですでにある建物から外へ突き出して建て増しした部分。
※五輪書(1645頃)火の巻「敵の人数を見て、はり出し強き所の角に当りて、其利を得べし」
忘却の河(1963)〈福永武彦〉一「私は窓の張出しに腰を下して」
② 広く示すために、人目につく所へ紙や札に書いたものをはること。また、そのもの。はりがみ。はりふだ。
※俳諧・大坂独吟集(1675)下「奉加帳にも入相のかね はり出しをならの都にしつらひて〈悦春〉」
相撲で、番付の欄外に記すこと。また、そこに記された力士
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「別に欄外に張出(ハリダシ)大関あるあり」
④ 江戸時代、女の結髪に、両鬢(びん)をふくらませ張り出すために、その中へ入れるもの。鯨のひげなどで弓のような形に作る。
浄瑠璃・四天王寺伶人桜(1769)三「わしゃ髩裏(つとうら)と鯨の張(ハリ)出し、是がないと燈籠鬢が出来ぬゆゑに太義した」

はり‐だ・す【張出】

[1] 〘自サ五(四)〙 外へ出っぱる。突き出る。
龍源寺(1934)〈渋川驍〉五「豊子は心が落つけないままに張り出した窓に腰かけて」
他人の顔(1964)〈安部公房〉序「大陸高気圧が張り出してきて」
[2] 〘他サ五(四)〙
① 外へ出っぱらせる。外へひろげ出す。
※日本書紀桃源抄(15C後)「天照太神の田のくろを過て、そとへなはをはりたいてとられたぞ」
② 広く示すために、紙や札に書いたものを人目にふれる所にかかげる。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六「食堂の掲示場に張り出した」
③ 相撲で、「張り出し③」の位置に付ける。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉駒ケ嶽の凋落太刀山独舞台「西ノ海は関脇から大関に昇って正位を占め、駒ケ嶽は張出されいささか影を薄くした」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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