社寺や橋梁の造営,修復などのために,願主の呼びかけに応じて財物を寄進した人の名や寄進物の品名,量を記した帳面。寄進帳ともいう。財物募集の趣意書を勧進帳といい,この趣旨に応じて奉加した者は,個人や講などの集団,また超宗派,超地域的になされることが多い。平安時代に奉加の語が文献にみられ,中近世に広く一般化した。近世村落の奉加帳には,元服した者や新婚の者が名を連ねる例もある。奉加の財物には木,竹,縄,わら,石,瓦などの資材,砂金,金銀銭,米,絹,綿などの資金やそれに代わるもの,提灯,のぼり,扁額,鐘,灯籠,絵馬や馬,刀剣など社寺の荘厳品,また単に夫役(ぶやく)のみの場合もある。奉加の背景には治病,招福,往生を願う貴庶の神仏信仰がある。
執筆者:赤田 光男
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…彼はこの勧進文を一輪車の右に貼り,左には後白河法皇の〈一粒半銭といへども,寸鉄尺木といへども,これを施す者は,世々生々在々所々,必ず妙力に依りて,長く景福を保つ云々〉という詔書を貼り,諸国を歴訪した。勧進帳とは別に,結縁(けちえん)者の名前のみを記した交名帳,寄進者の名前,金品名,数量などを記した奉加帳(寄進帳・祠堂帳)もあり,仏像胎内から発見された例(滋賀県信楽町玉桂寺)もある。【赤田 光男】。…
※「奉加帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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